前回に続いて、第13回ナノプラネットゼミの続きを報告します。

 本日は、次の記念講演について、その概要を紹介します。

 プログラム

  
11:00~12:00 大成研究所発足記念講演1 
              「緑砦館における小規模植物工場の特徴と可能性」  
大成博文

  まず、大成研究所の発足が、どのような情勢のもとでなされるのか、これについて二人の経済評論家および経済学者の講演と記事の紹介がありました。

 前者のF氏によれば、この数年は、第二次世界大戦直後の混乱期に相当していて、社会経済の構造が大きく変化している時期を迎えているようです。

 具体的には、アメリカの短期国債の金利が急上昇を続ける一方で、ドル安も急激に進行していることが示され、かれは、それは、坂道の下りにおいてブレーキをかけても止まらない状態と表現されていました。

 通常では、国債の金利が上がれば、通貨は高くなるが、今は、そうではない異常な事態が進行しているというのです。

 これには、アメリカの大統領のさまざまな意図が働いているようであり、それらを詳しく説明されていました。

 このまま推移していけば、ニクソンショック、レーガンショックで2度にわたって円高ドル安という大変化があったわけですが、その三度目が日本にもやってくるとのことでした。

 かれの予測では、1ドル50円という真に恐ろしいレートがもたらされても不思議ではないとのことでした。

 アメリカの対日貿易赤字は、この1ドルと50円を10年続ければすべて解消されるのだそうです。

 折から、日本の首相がアメリカの大統領を訪問されており、対日貿易についても協議を行うということがお昼のニュースで流れていましたので、まずは、その結果を見てみることにしましょう。

 第2は、日本の空洞化が驚くほどに進行していることがS名誉教授によって指摘されていることです。

 その彼女によれば、日本の電機産業は崩壊過程にあり、きわめて深刻な事態が進行していることが明らかにされています。

 ここで、その崩壊がなぜ起こったかが鋭く洞察されていますが、その主因は技術そのものをセットにして流出させたことにあると指摘されています。

 だれでも、どこでも、技術さえあれば、製品づくりができる、このシステムづくりに貢献したことから、後は安値競争になってしまい、そこから日本の電機産業の後退が始まりました。

 最後の頼みの綱だった自動車産業も、その半分の工場が海外進出し、国内の自動車産業は衰退へと向かっています。

 近々、中国が国産車を海外に輸出し始めると、日本の自動車産業は大きな打撃を受けることになることが指摘されています。

 日本経済の衰退因は、これらの製造業の不振にあり、その根本的な見直しが重要になってきています(この状況を詳しく学ぶために、Sさんの著書(定価6000円)を早速購入しました)。

 これらの経済学者は、それぞれ立場は異なっていても、両者には共通の指摘があり、それは、これから、とくに数年間に、わが国が大変な激変期を迎えることになるのではないかと思ったことでした。

 それから、非常に印象深かったことは、これまでの社長から平社員までの縦に並ぶ型社会、すなわち「縦型社会」が崩れ、横型の社会へ移行していくという指摘でした。

 この横型とは、モノを設計し、製作し、販売する、それを購買者が評価する、この評価が設計者や製作者に返っていく、この物流が横型の典型モデルだというのです。

 ものづくりの場合には、よいものを創るという価値観を共有して参加・連携し、これに、IoTやAI、ブロックチェーンを適切に組み合わせていく、これがこれからの仕事の在り方ではないかと強調されていました。

 これらは、なかなかおもしろい見識であり、より深く研究してみる価値はありそうだと思いました。

 さて、これらの見識を踏まえると、大成研究所の発足は、それこそ戦争直後の激変期のなかでなされたことになります。

 「そのことをしっかり、そして深く考えてみましょう」

 これが、最初の発した私のメッセージでした。

 今は、第2のパナソニックや第2のソニーが生まれてもふしぎではない、そのような時代だそうなので、その変化の意味を深く考察することが重要ではないかと思います。 

 そこで、F氏が強調されていたことのなかでもう一つ印象深かったことは、横型仕事の典型として「大規模な地場産業」を創出させてはいかがか、ということでした。

ーーー そういえば、それと同じ指向で、いくつかの課題に取り組んできた。「緑砦館」を新たに設けたのも、その拠点づくりのためであった。

 「かれがいっていておもしろいなと思ったことは、『大規模な地場産業』の創生ということでした。

 かれは、愛知の自動織機や三重県の真珠養殖を事例として示していましたので、大規模とは、そのような規模のことのようです。

 このような規模であれば、今の私たちにおいても決して無理なことではないのではないでしょうか?」

 こういったところで、第1回目の講演は終わりの時間を迎えてしまいました。

 「発足記念の内輪の食事会の予約時間になりましたので、今すぐに出かける必要があります」

 ということで、その地盤産業の具体化、そしてその中核を担う緑砦館については、次回の講演において詳しく話すことになりました


 私としては、少し残念でしたが、仕方ありませんでした(つづく)。

SANNSHOKU
桜三色の競演(岩戸寺、撮影2018年4月2日)