追記の2つ目は、以下の新聞特集に関することです。

 ②日経産業新聞特別版「高専に任せろ」2017年12月5日

 赤対先生が、わざわざ、この特別版を持参してくださいました。

 その説明によれば、この特別版が、全高専生と全高専教員に配布されたそうで、他にも企業のみなさんにも届けられたと思われますので、これは「画期的な変化」が起きていると理解いたしました。

 この特別版は、10ページ立てであり、そのすべてが高専に関する記事で埋められていました。

 かつて、このように大々的に、しかも、記者の総がかり(16名)で詳しく取材と掲載がなされたことはありません。

 私の知る限りでは、約20年前に日経新聞の教育欄において紹介されて以来のことではないかと思います。

 しかし、この時とは、その取材内容がまるで違います。

 その時の記事の要旨は、「高専が、ユニークで手作りの家族的な教育を行っている」として紹介され、大学教育とは異なる独自の教育路線を展開していると評価されるに留まっていました。

 ところが、今回の記事は、次の大きな見出しからも明らかなように、その認識とは大きく異なっています。

 高専に 社会に役立つ志 考え、自ら動き、競う若い力 
任せろ

 この大見出しの上に、本特別版記事の主旨が、次のように語られていました。

 「高等専門学校(高専)。中学3年の15歳でものづくりの専門集団入りを決意し、その多くが5年間の

濃密な教育、実地研修を経て製造、研究開発などの現場に就く。なかには、大学、大学院へと進み、さ

らに高度な知識を身に付けるものもいる。理論に基づく技術力、それを実践する行動力が強みだ。少子

化、技術者不足が指摘されるなか、国内外から高専に熱視線が注がれている『高専に任せろ』若い

力の源泉
に迫る」

 ここには、現在の高専を理解するうえで重要なキーワードが示されていますので、それらを青と赤で表すことにしました。

 これらのキーワードを解説する前に、この特別版の記事の概要を各ページに沿って示すことにしましょう。

 1ページ:上記の見出しと要旨、その解説記事に加えて、高専生が活躍している8枚の写真が大きく掲載されている。

 2ページ:「廃炉40年 20歳の決意 たった1人で廃炉ロボコン参戦 そして目指した道へ」、ここに登場したのが富山高専出身の市井紗也加さん(日本原子力研究開発機構)。

 廃炉ロボコンで「特別賞」を受賞した彼女が、日本原子力開発機構の新入職員代表として宣誓を行った。


 3ページ:「夢を鍛えるのは実学
 30社の技術結集 EVレース挑戦」という見出しで、一関高専の中津川壮さんの活躍の様子が紹介されている。

 4ページ:広告欄「企業・社会から求められる 高専人材」には、企業で活躍されている6名の高専卒業生の声が顔写真入りで掲載されている。

 5ページ:「高専プロコン、3部門で熱い戦い」、第28回を迎えた全国高等専門学校プログラミングコンテストの紹介がなされている。「主眼は、『アイデアをいかに実らせ、使ってもらうか』」。

 6ページ:「高専生のためのマイナビ就職セミナー」

 7ページ:「高専3大協議会 生みの親に聞く」、ロボコン(森政弘・東工大名誉教授)、プロコン(堀内征治・長野高専名誉教授ら)、デザコン(熊谷昌彦・米子高専名誉教授)誕生の秘話が語られている。

 8ページ:「大化け人材 来たれわが社へ」、「高い探究心 企業が争奪戦」、就職先と進学先が紹介されている。

 9ページ:「現場のパワー 私がつなぐ」、「腕に覚え 活躍する先輩たち」、高専出身の先輩たち(ホンダ、ANAグループ、サントリープロダクツ)の活躍談が示されている。

 10ページ:広告、高専生のためのマイナビ就職セミナー案内

 
さすが、16名の記者が総がかりで特集した記事だけあって、非常に説得力のある、読み応えのある内容でした。

 現在の高専生が、企業や社会から熱視線を注がれていることは、赤対先生との連続対談においても、詳しい説明があり、その討議によって深められたことがいくつもありました。

 それらも踏まえ、上記の青と赤の部分について、次回において、やや深い考察を試みることにしましょう
(つづく)。

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                   サヤエンドウの花