緑砦館において、植物たちと共に過ごす時間が多くなった私の生活ですが、この緑砦館生活に、今度はモーツァルトが加わり、1週間が経過しました。

 その間に、植物に音楽を聴かせた実験事例について少し調べてみました。

 それらはネット上の情報だけでもかなりの量があり、なかには、その作用効果が出現していたという報告もあり、それらを楽しく拝読いたしました。

 また、当方の観察においても、以下のおもしろい傾向がありましたので紹介しておきましょう。

 ①セロリの背丈が急に伸び始めた。その伸長は、近くのセロリほど顕著で、遠くに植わっているセロリは、その傾向がほとんど見られない。

 ②サヤエンドウの花がいくつも開花し始めた(その前は1つのみであったが、今は、4、5個も咲いている)。


 これらの成長は、たまたま、自然の成長過程において見出された傾向である可能性が大きく、とても、モーツァルトのせいだということはできません。

 一瞬、おやっと思った程度のことです。

 しかし、私にとっては、植物と共に、同じ空間においてモーツァルトを鑑賞しながら作業ができるのですから、これは極上の環境ということができます。

 これから、メインの装置をいくつも造っていくのですから、ハウスのなかは、それらの材料でかなり雑然としています。

 それは、真に殺風景の空間といってもよく、それを補い、寛がせているのが、北ゾーンの植物たちであり、南側から聴こえてくるモーツァルトの調べなのです。

 しかも、外は時折小雪が舞い散り、最高気温は3℃、夕方には0.5℃まで下がっていました。

 「外は寒すぎて作業ができません」

 と家内がハウスの中に移動してきましたが、それも無理はありません。

 私は、その時、シャツ1枚になってハウスのなかで作業をしていて、まさにオアシスのなかにいました。

 昨日は、一昨日の水路接着の箇所のそれぞれに、シリコーンを丁寧に塗布していました。
 
 こシリコーンは、食品用の装置としても安全性が確保されているもので、1本が5000円もするものであり、無駄のないように丁寧に、そして水漏れがないように二度塗りを行いました。

 水路の上下流端、そして中間点と、それを塗布する箇所が10数か所もありましたので、これをすべて仕上げるのに半日を要しました。

 これで、ほぼ水路は完成しましたので、明日からは水路の上に載せる移植板づくりに移行します。
 
 これを細長く切断し、その後に移植孔を開ける作業があります。
 
 手作りの楽しさはありますが、いざ、始めてみると結構な作業工程があり、なかなか一朝一夕にはできあがりませんね。

 しかし、植物栽培用の水路づくりを開始してからのことを考えると、それは、今度で4度目になります。

 当然のことですが、これまでの試行錯誤やノウハウの成果が、この水路づくりに活かされています。

 「とうとう、ここまできたか!」

 結局は、この装置の良し悪しで植物栽培の成果の程度が決まりますので、可能なかぎりのハイレベルを確保したいと思っています。

 ここで思い出すのは、薬師寺金堂を建立した時の大工の棟梁、西岡常一さんの言葉です。

 かれは、金堂の屋根の梁を建築する際に、その張り出しの梁の高さを設計図よりも5㎜たくせよという指令を下しました。

 現場の大工たちは、その指令に戸惑い、疑念を有します。

 かれは、その大工たちに、平然と次のようにいったそうです。

 「千年経てば、丁度良くなる!」

 これこそ、専門家としての千里眼といってよいでしょう。

 それでは、このハウスの水路づくりにおいては、この千里眼は、どのように発揮されるべきなのでしょうか。

 この数日、オアシスの中で、汗をかきながら、そのことを一生懸命に考え続けています。

 この思索に、モーツァルトは、とても「ここちよい」ですね(つづく)。
 
enndou20180206
 
              エンドウの花が咲きました