4つ目のエピソードは、光マイクロバブルによる「植物活性」に関することで、「巨大ホテイアオイは何を示唆していたのか」というタイトルでした。
これも、これまでにかなり詳しく解説してきましたので、ここでは、その重要部分のみをを述べることに留めておきましょう。
1999年において、広島カキ養殖改善に関する研究が開始され、光マイクロバブルによる二枚貝の生理活性に関する研究課題が設定されるようになりました。
「ここには、必ず重要な何かが潜んでいるはずだ!」
という直観(ひらめき)があり、「生物の初歩」から勉強し直すことを決意するに至りました。
すでに、私の年齢は40歳代の最後の方でしたので、今さら、新たな勉強をするまでもないのではないかという視線が、私のスタッフや周囲から執拗に投げかけられていました。
しかし、それらは、私の指向と決断を押し留めるほどには強くなく、熟慮に熟慮を重ねたことであったために、少しも迷うことなく、その新分野の勉強に足を踏み入れることにしました。
新参という誹りを受けるのを覚悟して共に未知の世界に歩を進めるのか、それとも、ここでそれぞれ別の道を歩むのか、これはかれらにとって小さくない問題であったのではないかと思います。
結果的に後者の選択がなされ、ただ一人我が道を行くことになり、若いころに読んだ「青年は荒野をめざす」という小説名を思い出したのでした。
こうして、素人としての生物の勉強を開始したわけですが、それは遅々として進まず、まさに50歳代になってからの手習いとなりました。
しかし、そんな状況の中で、生命の仕組みに分け入っていくと、その基本的メカニズムは、動物と植物には似通った部分があり、そうであれば、光マイクロバブルの技術を植物栽培に適用できるのではないかと密かに思うようになりました。
調べてみると、この分野では水耕栽培という野菜栽培法が先行してありましたので、その適用の可能性を検討してみようと思っていました。
折しも、ゴルフ場の池の浄化実験を行っていたときに、池全体を覆う菱の大群が出現し、ここには水質浄化に関する「重要な何か」があると思うようになりました。
当時の私どもは、ダム貯水池の水質浄化に取り組んでいましたので、植物プランクトンによる汚れをどう改善するのか、これが重要な課題でした。
あるところで池の浄化試験を見学した際に、「おやっ」と思うことがありました。
光マイクロバブルを発生させた水流が衝突していたところにホテイアオイがあり、そこだけやや大きく成長していました。
「もしかして、この成長は光マイクロバブルによってもたらされたものかもしれない。
そういえば、琉球大学時代に、ホテイアオイを用いて水質浄化を行っていた先生もおられた。
自分も、その実験を行ってみようか」
こう思っているときに、N君が卒業研究生としてやってきました。
N君は建築専攻の学生でしたが、環境問題に興味があったようで、光マイクロバブルの研究を希望していました。
そこで、N君とともに、ホテイアオイを用いてT高専の図書館前にある池の水質浄化実験に取り組むことにしました。
この池の水深はわずかに80㎝程度でしたが、創立以来、だれも池の底を見たことがない、いわゆる汚れたままの濁った池でした。
この池の一角の上部に、新たにコンクリート製の水槽を造り、そこに光マイクロバブル装置を2機配備し、さらに、上下の水槽と池にホテイアオイの苗を入れて、その成長比較を行いながら、下の池の水質浄化を行うことが、その研究の目的でした。
そのために、下の池の水を水中ポンプでくみ上げ、そのホースの先に光マイクロバブル装置を配備し、それで光マイクロバブルを発生させました。
このマイクロバブル水は、その下流の堰からオーバーフローさせ、再び下の池に流下させるという循環システムでした。
上の水槽と下の池の水は、同じように汚れた水ですから、
1)ホテイアオイの投入がなければこの水は汚れたままです。
2)また、上下でホテイアオイの成長差がなければ、上下で水質の差異も発生しないはずです。
3)しかし、その上下においてホテイアオイの成長に差異が生まれれば、それによってそれぞれの水質の差異が生ずるようになるかもしれません。
「とにかく、上の水槽と下の池にホテイアオイを入れて実験をしてみましょう」
こういってN君と始めた実験でしたが、その差異は、すぐに明確に出てきました。
1回目のホテイアオイ栽培実験結果の比較
(左が上の水槽で育ったホテイアオイ、右が下の池で育ったホテイアオイ)
これも、これまでにかなり詳しく解説してきましたので、ここでは、その重要部分のみをを述べることに留めておきましょう。
1999年において、広島カキ養殖改善に関する研究が開始され、光マイクロバブルによる二枚貝の生理活性に関する研究課題が設定されるようになりました。
「ここには、必ず重要な何かが潜んでいるはずだ!」
という直観(ひらめき)があり、「生物の初歩」から勉強し直すことを決意するに至りました。
すでに、私の年齢は40歳代の最後の方でしたので、今さら、新たな勉強をするまでもないのではないかという視線が、私のスタッフや周囲から執拗に投げかけられていました。
しかし、それらは、私の指向と決断を押し留めるほどには強くなく、熟慮に熟慮を重ねたことであったために、少しも迷うことなく、その新分野の勉強に足を踏み入れることにしました。
新参という誹りを受けるのを覚悟して共に未知の世界に歩を進めるのか、それとも、ここでそれぞれ別の道を歩むのか、これはかれらにとって小さくない問題であったのではないかと思います。
結果的に後者の選択がなされ、ただ一人我が道を行くことになり、若いころに読んだ「青年は荒野をめざす」という小説名を思い出したのでした。
こうして、素人としての生物の勉強を開始したわけですが、それは遅々として進まず、まさに50歳代になってからの手習いとなりました。
しかし、そんな状況の中で、生命の仕組みに分け入っていくと、その基本的メカニズムは、動物と植物には似通った部分があり、そうであれば、光マイクロバブルの技術を植物栽培に適用できるのではないかと密かに思うようになりました。
調べてみると、この分野では水耕栽培という野菜栽培法が先行してありましたので、その適用の可能性を検討してみようと思っていました。
折しも、ゴルフ場の池の浄化実験を行っていたときに、池全体を覆う菱の大群が出現し、ここには水質浄化に関する「重要な何か」があると思うようになりました。
当時の私どもは、ダム貯水池の水質浄化に取り組んでいましたので、植物プランクトンによる汚れをどう改善するのか、これが重要な課題でした。
あるところで池の浄化試験を見学した際に、「おやっ」と思うことがありました。
光マイクロバブルを発生させた水流が衝突していたところにホテイアオイがあり、そこだけやや大きく成長していました。
「もしかして、この成長は光マイクロバブルによってもたらされたものかもしれない。
そういえば、琉球大学時代に、ホテイアオイを用いて水質浄化を行っていた先生もおられた。
自分も、その実験を行ってみようか」
こう思っているときに、N君が卒業研究生としてやってきました。
N君は建築専攻の学生でしたが、環境問題に興味があったようで、光マイクロバブルの研究を希望していました。
そこで、N君とともに、ホテイアオイを用いてT高専の図書館前にある池の水質浄化実験に取り組むことにしました。
この池の水深はわずかに80㎝程度でしたが、創立以来、だれも池の底を見たことがない、いわゆる汚れたままの濁った池でした。
この池の一角の上部に、新たにコンクリート製の水槽を造り、そこに光マイクロバブル装置を2機配備し、さらに、上下の水槽と池にホテイアオイの苗を入れて、その成長比較を行いながら、下の池の水質浄化を行うことが、その研究の目的でした。
そのために、下の池の水を水中ポンプでくみ上げ、そのホースの先に光マイクロバブル装置を配備し、それで光マイクロバブルを発生させました。
このマイクロバブル水は、その下流の堰からオーバーフローさせ、再び下の池に流下させるという循環システムでした。
上の水槽と下の池の水は、同じように汚れた水ですから、
1)ホテイアオイの投入がなければこの水は汚れたままです。
2)また、上下でホテイアオイの成長差がなければ、上下で水質の差異も発生しないはずです。
3)しかし、その上下においてホテイアオイの成長に差異が生まれれば、それによってそれぞれの水質の差異が生ずるようになるかもしれません。
「とにかく、上の水槽と下の池にホテイアオイを入れて実験をしてみましょう」
こういってN君と始めた実験でしたが、その差異は、すぐに明確に出てきました。
光マイクロバブルを供給している水槽のホテイアオイが急成長し始めたからでした。
この成長と共に、N君の瞳の輝きもより一層増していました(つづく)。

(左が上の水槽で育ったホテイアオイ、右が下の池で育ったホテイアオイ)
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