3つ目のエピソードは「広島の若ガキ復活」に関することでした。

 すでに、この改善については、これまでにかなり詳しく述べてきましたので、ここでは、その成果の要約を述べることに留めておきましょう。

 1998年11月、広島カキ養殖は、ヘテロカプサ・サーキュラリスカーマという新種のプランクトンの大量発生(赤潮)によって45億円の被害を受けました。

 このプランクトンによってカキが直接斃死し、さらに、その斃死したカキによって生成された無酸素水域の出現によって養殖カキが全滅するという最悪の事態が発生しました。

 これを受け、翌年の初夏からは、この赤潮プランクトンの再発が懸念されていました。

 2年続けて、この赤潮被害が起こると、広島カキ養殖は壊滅的打撃を受けて立ち直ることはできないだろうといわれていました。

 そんな状況の中で広島に住む大学の友人が電話をかけてきて、「何とかカキを救ってくれ!」といわれ、素人ながら、それに取組むことになりました。

 これを「向う見ず」というのでしょうね。

 カキのことは現場で教えてもらえばよい、光マイクロバブルを試す機会がやってきたという思いから始めた取組でしたが、まさに悪戦苦闘をしながらも、なぜか事もとんとんと進んでいきました。

 幸運にも、もうだめか、プランクトンの大量発生で大変なことになると何度か思いかけたところで恵みの雨が降り、その最悪の事態を避けることになりました。

 そして秋口には、光マイクロバブルを供給したカキが、予想以上に成長しているのを見つけ、「もう心配ない、すばらしい成長を遂げている」と小躍りしたこともありました。

 その成長ぶりを目の当たりにし、ここにはカキを急成長させるメカニズムがあると確信し、その生理活性作用の究明に傾注するようになりました。

 それは、光マイクロバブルによるカキの開口(通常の3倍)、血流促進、呼吸量の増大による餌吸入促進、大幅な成長、そして除菌という生物的特徴を見出すことに結びついていきました。

 結果的に1年物の若ガキの30年ぶりの復活、広島カキ養殖史上初の真ガキの夏出荷、パーフェクトな除菌が可能となり、それらはNHKニュース7における半年ごとの3回連続放映などのよって全国に紹介されました。

 そして何よりも貴重だったのは、光マイクロバブルには生物活性作用があることを発見したことであり、これが翌年からの北海道噴火湾におけるホタテ養殖改善、三重県英虞湾における真珠養殖改善へと連動していくことになりました。

 これらの実践的研究によって、光マイクロバブルの生理活性作用の発現がいよいよ明確になり、光マイクロバブルの生物活性に関する研究の口火が放たれることになりました。

 つい最近のことですが、T東京関係のメディアから、この広島カキ養殖改善に関する取材の申し込みがありました。

 その放送テーマは、「ウルトラファインバブル」だったそうですが、そのバブルだけでは放送ネタが少なすぎるということで、こちらへのデータの提供の依頼がありました。

 これは、未だ、「ウルトラファインバブル」による研究成果が不十分であることを示唆するものでしたが、それを踏まえ、以下の確認を得て、ご依頼のデータを提供することにしました。

 ①マイクロバブル技術の創始者は誰であるかを明示する。

 ②広島カキ養殖のデータを示す際には、その提供者の氏名を明らかにする。

 この記者の方は、データがそろわず、かなり困っておられましたので、この私どもの提案をすぐに了解してくださいました。

hirosima20171210

広島カキ養殖筏における光マイクロバブルの発生

 この広島カキ養殖改善に続いて、
北海道ホタテ養殖改善、三重真珠養殖改善という実践的な研究に取り組むことによって、光マイクロバブルの生物活性作用を発見したことが、その後の私の研究者人生を大きく変えていくことになりました。

 しかし、そのことについても、次のような外部騒音を幾度となく耳にしました。

 ①マイクロバブルという得体のしれないものを創っているが、そんなものは何の役には立たない。私は、マイクロバブルの研究を絶対しない(その後、ご本人は、前言を翻し、みごとにマイクロバブル研究者に変身していった)。

 ②マイクロバブルはマスコミ受けしているだけで、絶対に学問にはならない。学会も相手にしないであろう(今や2つの学会ができ、少なくない研究者が世界規模で出現していることから、これは真に浅薄な見解であった)。

 ③有名大学や企業の研究所から生まれた技術ではないので、あまり信用できない。「じつは、あの装置は私が開発したものである(さすがに、私の開発した装置に対しては、きちんと特許化されていたので、しかも、それを創始したことは明確になっていたので、このような発言はなかったが、他の装置については、同じものをK大とT大が競い合って披露し合うという珍現象が発生した。しかし、その開発は、そのいずれでもなく、A高専でなされたものであった)」という主張をよく耳にした。

 ④光マイクロバブルは濃度が低く、「白い泡」ではない。この白い泡がナノバブルである。 

 こうして書き始めると「きりがない」ぐらいあるので、この辺で筆をおきますが、このような非難めいた現象が次々に発生したことは、ある意味で必然的な現象でもあったといえるでしょう。

 なぜなら、それが本物であればあるほど、それらを付随して発生させるのが世の常であり、そして、それらを堂々と乗り越えていくことも「世の習い」だからであります。

 こうして、私は、光マイクロバブルの作用効果の究明について、ますます心血を注いでいくようになりました
つづく)。