2つ目のエピソードは「世界最小水準の気泡」についてです。

 これを見出しにした記事が、日刊工業新聞の1面トップに出されていました。

 これにはちょっとした思いがけないことがありました。

日刊工業19980724
日刊工業新聞記事

 何かで朝方まで徹夜の実験を行って、ほっと一息ついているときに机の上の電話機が生りました。

 なにかと思って受話器を取ると、東京の弁理士からの電話で、いきなり「おめでとうございます」といわれました。

 そういわれても何のことだかわからず、思わず聞き返しました。

 「おめでとうといわれましても、何のことでしょう?」

 どんなに思いを巡らしても、何のことなのかがよく解りませんでした。

 「今朝の日刊工業新聞に出ていますよ。すばらしいですね」

 この弁理士とは、その少し前に、「これからは『マイクロバブル』という呼称を用いることにしましょう」と打ち合わせをしたばかりのことでした。

ーーー そういえば、以前に、日刊工業新聞の徳山支局長さんから、取材を受けたことがあった。やっと思い出すことができた!

 しかし、そのことをすっかり忘れていました。

ーーー 東京の弁理士さんが、その記事を読んだということは全国版の記事になったということか。

 それにしても、よく、その記事を見つけたものだと思っていました。

 そのうち、その弁理士さんがマイクロバブルのことを長々と話しをされていたので、ふしぎに思っていましたが、その話しぶりから、その記事が1面トップ記事で掲載されていることを知り、さらに吃驚させられました。

 私は、地方版の片隅に掲載されるのであろうと思っていましたが、それが全国版の記事になって弁理士の目に留まったのであろうと推測していましたが、まさか、それが1面のトップ記事になっているとは思いませんでした。

ーーー どうりで、弁理士が朝早く電話をかけてきた理由が解った。そうだったhのか!

 その場で、かれにすぐにファクシミリで、その記事を送信していただくことをお願いしました。

 この電文を庶務係に取りに行って、この記事を目にして、また驚きました。

 たしかに、1面トップ記事で「世界最小水準の気泡」という見出しが躍っていたではないですか。

ーーー どうしようか。これは大変なことになった!

 「今日は大変な一日になる」、こう直観し、早速朝一番で、電話応対をする庶務係と、その対応に関する打ち合わせを行い、自室で待機することにしました。


 予想した通り、この記事の反響はものすごく、電話がひっきりなしにかかってきました。

 
まず、記事の内容に関する問い合わせが先行してあり、次には、面会の申し込みが相次ぎました。

 1日最大で3人、一人ごとに2時間と決め、この対応を続けましたが、これが結構大変で、その面会が終わると、この対応疲れでぐったりとなりました。

 訪問された相手は、自分の聞きたいことを根掘り葉掘り聞いてきます。

 これに対し、私の方は、できるだけ、それに的確に回答していかねばなりません。

 しかし、私がすべてを知ってるわけではなく、返答に困ることも少なくありませんでした。

 そんな時は、

 「相手は、その道の専門家といっても、マイクロバブルのことを何も知らないのだから、そのことを基本にして解説をしていこう」

と思うことにし、途中からは、共に勉強し合うという面接スタイルになっていきました。

 おかげで、今日まで、そのスタイルを続けてきましたので、この応対による「耳学問」によって身に付けた知識をかなり蓄積することができました。

 ここで、私が非常に重要であると思ったことは、技術の現場のことをよく知らないと、何も有効な対応をすることができない、そして適切な方法を示すこともできないということであり、その現場の勉強をしっかりしなければならないということでした。

 そのためにも、現場の問題点の所在を明らかにし、その課題究明のためにマイクロバブル技術をどう適用し、実際に解決していくかの道筋を明らかにしていくことが重要でした。

 結局、この問合せや面談は1年以上も続き、そして、次のNHKニュース7での放送によって、さらに、それが増えていくことになりました。

 このエピソード2における教訓は、マイクロバブル技術の適用分野が極めて広く、そこには様々な技術的問題を解決していかねばならない課題があることを知ったことにありました。

 マイクロバブルには、途方もなく広い分野において適用すべき問題がある、これらを極めていくことは大変なことであるが、とてもやりがいのあることである、それをコツコツと勉強していかねばならない、このような思いを新たにすることができました。

 そして、そのことが、それから1年後の広島カキ養殖で、本格的に、そして容赦なく試されることになりました
つづく)。

kouyou
  
                 紅葉