11月に開催した第13回マイクロバブル技術国東セミナーの報告を丁寧に行っていたら、とうとう年を越してしまいました。

 第1日目に行った記念講演1において、私は5つのエピソードを紹介しました。

 じつは、この説明に合計で9回にわたる記事を書き、これが終わらないうちは、それ以外の報告をするわけにいきませんでした。

 すでに明らかにしてきたように、それにしても、この5つのエピソードは、私が光マイクロバブル研究に打ち込む重要な契機、そして礎となりました。

 しかも、この5つは順を追ってより本質的で重要な問題を切り拓く内容、いわば研究所にとっては「宝物」に相当するような内容と奥行き、そして普遍性を有するものでした。

 私にとっては、それらに遭遇するたびに「真理の女神」が微笑んでくれたように思え、真に「セレンディピティー」溢れるものとなりました。

 結局、これらのエピソードのおかげで、私は、それまで行っていた水理学の研究から光マイクロバブルへの研究に全面的に移行し、T高専を定年退職した今も、その技術開発に取り組めるという幸運を得ることができました。

 また、その研究の日録としての「マイクロバブル博士の『マイクロバブル旅日記』」を、こうして書き続けることができるのも、そのおかげだと深く感謝しております。

 すでに述べてきたように、私は、これらのエピソードに出会う度に光マイクロバブルの本物性をより深く理解できるようになり、「これを生涯の仕事にしよう」と確信するようになりました。

 今あらためて、このエピソードに関する9回分の記事を読み返してみても、そして、その執筆中にも深く感じていたことですが、光マイクロバブルのもたらす成果の豊かさ、多彩さ、そして科学的な深さ、さらには優れた技術的イノベーション性の片鱗を垣間見ることができます。

 「さすが光マイクロバブル、わが生涯の友よ、ありがとう!」

 なんだか、こういいたい気分になりますね。

 さて、今回のセミナーは、大成研究所の竣工記念を兼ねていましたので、いつもよりは、そのセミナーのあり方について工夫を凝らしました。

 それは、ほとんどが初めて参加する方々に、どのように解りやすく理解していただくか、そして、それをおもしろく思い、ゆかいに役立てていただくか、この問題を、次のように深く考えたことでした。

 ①最初に「実際の現象」を紹介し、その中身を説明し、さらに、それらが有する本質を明らかにする。
 これは、物理学者の武谷三男氏の「三段階論」を参考にしています。

 ②この三段階をセミナーの前半、中程、後半に分けて解説し、現象的理解から本質的理解への手助けを行う。

 ③前半では、何よりも優先して「驚きと感動」の現象を「エピソード」として語る。
 この驚きと感動を与えることが最高の「理解」の方法であり、これによって脳内に確実に、その情報を刻み込むことができるようになります。

 ④中程では、より具体的な事例を解りやすく示し、幅広い分野での光マイクロバブルの適用における成果を学習する。
 ここでは、参加者が関心を抱いているテーマが必ずありますので、具体的な成果を示しながら、その関心に応えていきます。

 ⑤
後半では、科学的なデータを示し、より深い理解へと導いていきます。
 光マイクロバブルの諸現象を正しく理解するには、学問としては、物理学、化学、生物学、技術学の4つが必要にななります。
 これらを一時に理解し、マスターすることは不可能に近いことですので、その基本的な知見を解りやすく解説することに努めます。
 


 ⑥その際、前述の具体的現象と科学的なデータとの関連をよりやさしく説明することも非常に重要といえます。
 大切なことであれば、そして優しく解説することができると、参加者の「なぜなのか」という疑問に答えることが可能になります。

 科学と技術は、そのための道具であり、最初は理解しづらいことであっても、何度も考えているうちに自然に理解できるようになります。

 この観点を踏まえて、⑤と⑥を記念講演2において、再度学習し、光マイクロバブルの奥深さと未来性についても考えていただくことにしました
(つづく)。

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大成研究所から歩いて10mのところにある「向陽台の森」
 (大成研究所が建てられた国東市武蔵町向陽台は、かつて森であった。森の向こうには豊後水道がある)。