すでに紹介してきたように、高専における専攻科設置に関する論議は、『全専協』(注①)を中心舞台にして大いに盛り上がりました。

 注①:全国高専教職員組合の略称、当時、私は、その責任者を務めていました。

 その理由をまとめて、以下に列挙しておきましょう。

 ①高専の制度に関係する「将来問題」として、高専現場の教職員自らが本格的な検討を行った、いわば、初めての高専の現場に根ざした論議がなされ、意見の集約がなされた。

 ②高専専攻科生を、いかに立派に成長させるかを軸にしての検討がなされ、それが高専の本科をも発展させる課題と結びついて総合的な究明がなされた。

 ③とくに、専攻科教育を発展させるために、専攻科生の「研究資質を養成する」課題の重要性が示された。

 また、それを可能とする高専教員の主体的力量の形成問題も検討されることになった。

 ④高専生やその保護者の生の声を踏まえることで、高専生に則し、地域に根ざした切実な意見を踏まえた専攻科論議を深めることができた。

 こうして、論議の深まりとともに、専攻科不要論は影を薄めていくことになりましたが、それを完全に解消させるまで、すなわち、心の奥底までの払しょくには至りませんでした。

 そのことが明らかになったのは、『私たちの高専改革プラン』(注②)をまとめ上げる際のことでした。

 その時のエピソードを少し紹介しておきましょう。

 注②:全国大学高専教職員組合高専改革プロジェクトチーム(全国高専教職員組合高専協議会)、1994年3月。

 この時、すでに高専には専攻科の設置が開始されていましたが、そこでの設置における印象がよくなかったのでしょうか。

 そのメンバーにおける重鎮的存在であった方から、専攻科設置に関して否定的な意見が述べられました。
 
 これで、振り出しに戻りながらの議論となり、それを踏まえて、最終的には、その文書を、どのようにまとめるかで、次の点が加えられました。

 ①「30年に及ぶ高専における教育活動で達成した成果を前提とし、さらにそれを発展させるものでなければならない。徒らな既存の大学の後追いではなく、新しい高等教育機関を創り出すことをめざすべきである」

 ②「専攻科設置は全教職員の合意によるべきである」

 ③「全教職員が専攻科に何らかの貢献をなし得ると判断できること、その高専の達成した成果を明らかにし、専攻科設置の設置によって、高専の今後の発展に明るい見通しを持ち得ることがなどが必要である」

 これらは、30年に及ぶ高専教育の成果を受け継ぎ、どう発展させるのか、高専自身による専攻科教育の創造と発展、そして「新たな大学化をめざす」必要があることを示していました。

 そのために、全教職員による合意を基礎にして、それが高専を固有に発展させることよって、高専の将来に「明るい見通し」を与えるものであることが強調されたのでした。

 この高専に根ざした新たな大学化、そして、そこに全教職員の賛同を得て、明るい展望を与える課題、これは、高専の内的発展法則を究明することに関して中心軸となりうるものでした。

 次回は、その観点を踏まえて、さらに「内的発展論」に深く分け入ることにしましょう
(つづく)。


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