正確な期日よりは、やや遅れてからの2950回記念シリーズの開始になりました。

 その遅れを考慮すると、大台の3000回記念の日も1ヶ月余の11月初旬にやってきますので、それも考慮しながらの執筆になるでしょう。

 さて、今回の記念記事のテーマは、「マイクロバブルフォームブレイクスルー」としました。

 これは、「マイクロバブルフォーム」と「ブレイクスルー」という2つのキーワードで成り立っていますので、まずは、これらの説明から始めることにしましょう。

 前者の「マイクロバブルフォーム」とは、少量の界面活性剤を含む液体のなかで、超高速旋回式マイクロバブル発生装置(注①)を用いて「光マイクロバブル(注②)」を発生させた際に発生する、極小で大量の泡(フォーム)のことです。

 この界面活性剤を含む液体中において光マイクロバブルを発生させると、その液体の表面張力が変化し、その泡(フォーム)の性状が大きく変化しますが、じつは、その性状や発生のメカニズムについては、あまり詳しい究明がなされていませんでした。

  しかし、細かい泡を用いた技術については、たくさんの分野において、その巧みで実践的な適用がなされてきました。

 この数年、筆者らが開発してきた装置においても、光マイクロバブルを発生させる際に、その液体中に少量の界面活性剤(シャンプー液)を含むと、極小の光マイクロバブルを大量に発生させることを可能にしたために、これをどう科学的に究明するかが非常に重要な課題になってきていました。

 すでに、極小の(光)マイクロバブルフォームが大量発生することは経験的に観察済みでしたが、それを科学的に明らかにしていくことに分け入ることは、ほとんどなされていませんでした。

 換言すれば、「マイクロバブルフォームの科学」が未解明のままに、現場では、それを利用しようとした洗浄技術が適用されてきました。

 このように、技術的な発達の初期段階においては、それが科学としての確立がないままに単独で発展することもあり、やがて、その発展がより高度な兆しを見せ始めると、それ自身が、科学的な究明を促すようになります。

 おそらく、その促進の時期がやってきているのでしょう。

 本論においては、極小な泡(マイクロバブルフォーム)を用いた洗浄技術の分野としてペット洗浄を対象とし、そこでのマイクロバブルフォームの科学的究明を試みることにしました。

 なお、2つ目のキーワードの「ブレイクスルー」は、壁の「突破」、「打破」を意味します。

 その結果、これまでの常識が覆され、そこから飛躍的な発展が生まれることも含まれています。

 平たくいえば、マイクロバブルフォームの科学によって、これまでのペット洗浄技術の常識を覆す新たな究明を行うこと、これが本論がめざす主要な目的ということができるでしょう。

 本論は、その第1回目のプロローグです。

 次回からは、マイクロバブルフォームの科学の世界に分け入り、そして、その常識を覆す洗浄技術を明らかにしていくことを試みることにしましょう。

MBF-55
                       マイクロバブルフォーム

 注①:超高速旋回式マイクロバブル発生装置とは、筆者らが1995年に世界に先駆けて開発したマイクロバブル発生装置のことです。

 超高速旋回とは、毎秒500回転前後の旋回速度を有することに特徴があり、このような旋回速度を有しないと、極微細なマイクロバブルを大量に発生させることができません。

 注②:「光マイクロバブル」とは、上記の超高速旋回式マイクロバブル発生装置によって発生したマイクロバブルのことです。

 また、「光マイクロバブル」という用語は、株式会社ナノプラネット研究所によって商標取得がなされています。


 なお、今後は、他の装置によって発生させられたマイクロバブルとの区別を明確にするために、筆者(大成博文)によって開発された超高速旋回式マイクロバブル発生装置から発生させられたマイクロバブルは、すべて「光マイクロバブル」と呼ぶことにします。

 したがって、本論において単に「マイクロバブル」と呼ぶ場合は、その一般的呼称か、他の装置によって発生させられたマイクロバブルのいずれかを示すことになりますので、そのご理解をよろしくお願いいたします。