沖縄研究会(仮称)は、予定通り午前10時に那覇市にあるK名誉教授宅で始まりました。

 沖縄について、互いに関心を抱いていることを話題提供し、報告し合う、これが本研究会の主旨でした。

 まずは、互いの自己紹介から始まりました。

 K名誉教授は、沖縄の祖国復帰前から沖縄の大学に赴任したそうで、それ以来、節々において俳句を創作されてきたそうで、その披露を兼ねての自己紹介がありました。

 なにせ、50年以上にわたる学者経歴の持ち主ですから、その節々といってもかなりの数の俳句の披露となり、その都度話が弾むことになりました。

 沖縄の祖国復帰の日、米軍ヘリがキャンパス内に墜落炎上した日、オール沖縄で現知事が選挙で当選した日などの俳句が次々に紹介されました。

 長い付き合いですが、この俳句のことは、一度も聞いたことがなく、物珍しさも加わって、その時の心境を詳しく尋ねることになりました。

 結局、午前中の2時間は、それぞれの自己紹介のみで終わってしまい、おかげで、互いの昨今についてより理解を深めることができました。

 「午前中は、自己紹介だけで終わってしまいました。そろそろお昼時ですので、近くの食堂にいきましょうか」

 歩いて3分のところに目当ての「石嶺食堂」がありました。

 ここには、観光客がよく訪れるのだそうで、店内には、すでに多くのお客さんが来られていました。

 メニューを見ながら、私は、「ソーキそば」、相棒は、「アグー豚のトンカツ」、K教授は、メニューにない「イカ墨の焼きそば」を注文されました。

 この注文を聞いて、私も興味を抱き、同じものを再注文しようかという思いが過りましたが、「焼きそば」ときいて、内地の中華風焼きそばを連想してしまい、その修正を取りやめました。

 ところが、出てきた「黒い色の焼きそば」を見て吃驚しました。

 その「焼きそば」とは、沖縄そばの麺にイカ墨をかけて焼いたものであり、見るからにおいしそうなものでした。
 
 この焼きそばに熱い視線が注がれたせいでしょうか、「これはみんなで食べることにしましょう」とK名誉教授がいい始め、新たにそば定食を再度注文されてしまいました。

 イカ墨のコクと旨みが上乗せされた沖縄そば麺の焼きそばは、上品な味で、みごとな美味しさで、すっかり気に入りました。

 今度、この食堂を訪れた際には、この「イカ墨焼きそば」を注文しようと思いました。

 午後からは、互いにお腹が膨らんだせいか、眠気との闘いのなかで、「沖縄の基地問題」、「沖縄の食文化」、「最近の沖縄の印象」などの話題が提供されました。

 私は、最後者の題目で、二度にわたる沖縄訪問における調査や話し合いを通じて抱いた15の項目に関する印象を述べました。

 それらについては、別の機会を得て、より詳しく報告する機会を探そうと思っています。

 結局、本研究会は午後17時まで続けられ、合計で6時間のロングランになりました。

 最後は、座り疲れを覚えるほどで、それぞれが有している問題意識をより深く理解することができました。

 「議論がかみ合うまでには至りませんでしたね」

 「互いの問題意識を知り、理解できたことは貴重でした」

 「沖縄の基地問題についてほとんど知らなかったので、大変勉強になりました」

 これらの感想を述べ合い、楽しい第1回研究会を終了することができました。

 こうして、何はともあれ、真に小さな研究会でしたが、めでたくスタートすることができました。

 何事も、「知は力」、「継続は力」ですので、これを粘り強く成就していくことで、そのうち発展途上の軌跡を進むことができるようになれば幸いです。

 また、これをもって、近々発足する「大成研究所」における当面のプロジェクトのひとつとして「沖縄プロジェクト」が開始されたことにしたいと思います。

 本研究会を終え、私たちは、次の待ち合わせ場所である「グランドキャッスル(旧称)」に向かいました。

 ここは、私が初めて沖縄を訪れた日(1975年4月)に、タクシーの運転手に宿泊できるホテルを尋ねたら、このホテルに連れていかれ、ここに泊まった思い出(?)のホテルでした。

 あまりにも大きなホテルだったためにドギマギしましたが、これも成り行きと観念して宿泊したことを懐かしく思い出しました(つづく)。

onnaumi
                        恩納村のホテルからの眺め