お盆が明けて、昨日から大工さんの仕事が再開されました。

 振り返りますと、基礎工事の始まりが6月初旬、棟上げが7月15日でした。

 以来約1か月の間に、屋根張り、窓枠と窓の設置、屋根の下への断熱材挿入、床パネルの敷き詰めなどの工事へと進んでいきました。

 この間、基礎工事屋、足場屋、電気工事屋、水道屋、窓サッシ屋、左官屋さんなどが、その建築の進行状況に沿って工事をなされてきました。

 建築とは、多くの専門業者の方々のご尽力で成り立つものであることを改めて知ることになりました。

 同時に、みなさんと話をして交流し、問題点を解決しての現場対応もしてきました。おかげで、かなりの建築の勉強をすることもできました。

 今振り返れば、大切であったことがいくつもあり、ここで、それらをまとめておくことにしましょう。

 ①建築の基本設計を綿密に検討し、しかも何度も練り上げたことが、今になって生きている。

 工事が進行するにしたがって、具体的な空間のイメージが湧いてくるようになります。

 私は、その工事現場に佇んで、それができ上ったときのことを想像して、あれこれと考えることが好きです。

 そのため、日に2、3度は、その現場に足を運んでいます。

ーーー 今日は何を思い、何を新たに発見できるか?

 そう思うと興味津々となり、ワクワクしながら、毎日、新鮮な思いで視察を繰り返しています。

 その際、「ここは、このように設計していただいた」という思いが湧いてきます。

 同時に、「ここはこう変えた」、「この変更でよかったのだ」という確認をよくしています。

 おそらく、建築が進むにしたがって、「ここはこうしていた方がよかった」という後悔が出てくるようであれば、それは事前の設計段階での「練り上げが足らなかった」ということになります。

 今回は、それが一つもなく、最終案まで練り上げたことが、まさに「功を奏した」といってもよいでしょう。

 ②棟梁大工のUさんを中心にしたチームワークの良さが「建築の技術水準」を高める。

 先日、棟梁のUさんと話をしていたら、次のような「やり取り」がありました。

 「連日、精魂を込めて建築作業をなされていますが、こうしてでき上ってくると大工さんなりの『思い入れ』が湧いてくるのではないでしょうか?」

 「そうなんです。まるで息子のように感じ、可愛く感じるようになります」

 「そうですか。大工さんの仕事として膨大な、それこそ気の遠くなるような膨大な作業をこなされていますが、やはり、特別の思いが湧いてくるのでしょうね」

 「とくに、この家は、普通の家よりも2倍も作業量がありますので、それだけ、思いを込める量も多いですね」

 「それはありがたいことです。簡単に、しかも短期間に建ってしまう今の建築とはかなり違いますので、ここはやりがいがありますね」

 「みなさん、『ここは、よそと違う、大きい家だ』といっていますよ」

 「この建築に寄せていただいたみなさんの思いは、私もひしひしと感じ取っています。真に、ありがたいことです」

 上記の「技術水準の向上」については、次の4つの事例を紹介しておきましょう。

 ①基礎レベルの改善


 その第1は、基礎の地面水準を、どこに設定するかに関することでした。

 当初の予定では、基礎の高さは、お隣の現「大成邸」よりも約30㎝下に設定していました。

 これは、西から現大成邸が3軒目、そして緑砦館が4軒目ですが、これが東に移動するごとに、その地面高さが約30㎝ほど下がっていたことに由来していました。

 ところが、外枠のブロック塀と基礎の工事をしている際に、その水準よりも約30㎝上にあげて基礎面を設定したらどうか、という現場の声が出てきました。

 その改善案の説明を現場で受け、「それが可能であれば、その方がよい」と判断し、そのことを建築設計士(プラスエム株式会社)にも了解していただきました。

 この設計会社のよいところは、何事も現場(施工者+施主)の意見に耳を傾け、よりよいことであれば、それを積極的に改善していく姿勢を堅持していることにあります。

 この提案によって、新居の緑砦館が、その西隣の家と同じ地面の高さになって、2つの建物間の段差がなくなり、より一体感が保てるようになりました。

 また、陽当たりや風通しもよくなり、窓からの視線や景色も変わることになりました。

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   中庭における新たな基礎の上面(オレンジ色の高さまで土と基礎が築かれることになる)

 このように、隣の中庭の高さよりは、わずかに下がったところが中庭の上面になる予定です。

 そのため、境界にあったブロック壁面(やや黒っぽい部分が横に延びている)はすっぽりと基礎のなかに埋まって隠されてしまう予定です。

 また、南側の緑砦館(研究所棟)(右)と旧邸(左)を比較してみましょう。

 新邸は、平家であるにもかかわらず、基礎のレベルが高いために、左と比較しても決して引けをとりません。 

 これには、新邸の基礎の高さが、重要な影響を与えています。

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               旧邸(左)と新邸(右)の比較(8月15日、筆者撮影)

 第2~4の事例は、次回で詳しく紹介することにしましょう(つづく)。