さて、未来技術としてのマイクロバブル技術が、なぜ、当面、小規模サイズでもよいからイノベーションを起こすことができないのか、これには、次の理由があるように思われます。

  ①いくつものイノベーションを誘起させる「第1次の革命的商品」が出現していない。

 
この場合、革命的商品とは、生活や産業を一変させるような商品のことであり、具体的には、かつてのテレビ、洗濯機、冷蔵庫などのことをいいます。

 私の子どものころには、まだ家にテレビがなく、大きな旅館や散髪屋に友達とよく見に行ったことを覚えています。

 これは、単に生活様式を変革させただけでなく、人々の心を魅了させたことに、その革命性がありました。

 しかし、これらの商品には、いずれもルーツがあり、それがアメリカでした。

 戦後は、「約25年遅れでアメリカのものが芽生えてくる」、「日本の未来の起源はアメリカにある」とよくいわれてきました。

 ところが、今のアメリカはどうでしょうか。

 製造業が衰退し、その復活問題が大統領の選挙にも影響を与えるほどになりました。

 かつては、1950年代において製造業は全体の62%を占めていたのに、2000年代においては5%に転落しています。

 そして、その「25年遅れ」の日本は、どうでしょうか?

 1990年において、製造業の比率は26.7%が、今や18%台にまで落ち込んでいて、かつてのアメリカが歩んできたのと同じ道を歩もうとしているのではないでしょうか。

 昨今の特徴は、前回において少しふれましたが、大型テレビのS社、技術のT社やH社などの不振がメディアを賑わしていることです。
 
 ある経済ジャーナリストが、最近のメディアで次のような指摘をしていました。

 実質的に、国民の税金を基盤として民営化された企業において巨額の損失が発生していて、その処理に困っていること、さらには、それを報道した新聞記事の横には、今や唯一といってもよい、技術研究者の成果をコマーシャルにしているF社の決算報告がなされなかったことなどが指摘されていました。

 これらは、明らかに、上記の衰退を象徴的に顕わにしている現象といえるのではないでしょうか。

 ものを創り出す力、すなわち生産力の決め手は研究開発費です。

 ここに力点を置きながら地道に次世代を生み出す革命的商品の研究開発を行う、この基本を踏まえて粘り強く遂行する、ここにしか活路はありません。

 ましてや、25年遅れの日本は、アメリカを手本にして動けばよかったのですが、その「ものづくり大国アメリカ」が崩壊しつつある今日、日本は自前で、その次世代商品の「概念そのもの」と実際の「もの」を創り出していく必要があります。

 時代を先行してきたアメリカから学ぶ「もの」は無くなってしまった今こそ、日本人としての創造性が真に試されているのではないでしょうか。

 もともと、私たちの祖先は、厳しい自然や恵まれない環境のなかでも、創意あふれた知恵と工夫によって、それらを粘り強く克服してきました。

 ここに探究すべき新たな活路があり、オリジナルの「知恵の泉」があるのではないでしょうか。

 ②広大で強固な基盤形成がなされていない。

  前回の記事において、技術的イノベーションを起こすための5つの「必要条件」を示しました。

 その要約を、改めて示しておきましょう。

 1)富士山のような広大な技術的土台を有する裾野づくりが必要である。

 2)中小企業や第1次産業の関係者、市民などが、参加することを可能にし、持続的にイノベーションを起こしていく。

 3)独創的な科学的及び技術的究明に裏打ちされた、わが国発のオリジナル新技術によって世界をリードしていく。

 4)最も困難が山積している地域においても、それを豊かに発展できる実践力を有し、地域の再生と拠点づくりを可能にする。

 5)多くの人々が実践的に体験的に学習し、研究し合う道場づくりを可能とする。


 ここでいう強固な基盤形成とは、これらの必要条件を満たすことを意味しますが、ここで大事なことは、それらが「十分条件」ではないことです。

 これらの実現には、これらの5つが必要ですが、それが備わりすれば十分に成し遂げられていくのものではなく、おそらく、予想もできい紆余曲折や一時的な後退現象も起こるでしょう。

 しかし、そんなときにも柔軟でかつ粘り強い対応によって、それらの難関を乗り越えていくことが必要となるでしょう。

 もちろん、私自身は、その隊列に並ぶ一人として、これらの必要条件を具体的でかつ実践的にはマイクロバブル技術を通じて、その研鑽と実現を目指していきたいと思っています。

 以上を踏まえ、マイクロバブル技術の20年余を振り返りながら、次の柱状図の改定を試みました。

 これは、しばらく見直しをしていませんでしたので、久しぶりの改定となりました。

 まずは、当面の課題を加えることに留め、ここについては、今後検討を加えながら、より具体的な改定作業を続けていく予定です。

 次回は、この柱状図を踏まえて、より詳しい考察を行うことにしましょう(つづく)。

技術分野20170423-2

 マイクロバブル技術の発展柱状図(2017年5月2日改訂版)