マイクロ・ナノバブルのことを考える際に、最初に大事なことは、発生方式や装置が異なれば、そこで発生するマイクロ・ナノバブルも、それぞれ異なることです。
この非常識を常識化していくには、それぞれのマイクロ・ナノバブルにおける何が同じで、そして何が違うか、を明らかにしていくしかありません。
この究明が進まないと、利用者、ひいては社会に対しても、ある意味での混迷や混乱を招くことになります。
昨日、ある待合所で観光パンフを眺めていたら、地方の温泉における「マイクロバブルで美人湯」という見出しが目に留まりました。
ここまで、マイクロバブルが普及しているのかと、少々喜びましたが、その説明を、いくら読み返しても、その内容をよく理解することができませんでした。
どうやら、お肌がしっとりとして保湿性が高まり、つるつるとなることで美人湯といいたかったようでした。
しかし、その意図において、マイクロバブルが具体的にどう作用するのかについては、きちんとした説明になっていませんでした。
また、炭酸ガスマイクロバブルを使用しているようでしたが、それについても、明確な説明がなされていませんでした。
おそらく、マイクロバブルや炭酸ガスマイクロバブルのことをよく理解できないままに、美人湯としての機能を、ひたすら説明しようとしたのだと思います。
しかし、それが上手くできずに、苦労してこの文書を認められたのではないでしょうか。
この方には、もう少しマイクロバブルのことを深く勉強していただく必要があると思いました。
前置きが長くなりました。
まず、マイクロバブルの収縮運動に関して若干の交通整理から始めることにしましょう。
そのために、下図を示します。
発生後のマイクロバブルは、次の3つのCASEに分類されます。
CASE-A 収縮する 寿命が短い(数十秒以下) 振動する
CASE-B 収縮する 寿命が長い(数分~10分以上) 振動しない
CASE-C 膨張する 浮上して水表面で消失 高周波振動はない
この場合、CASE-Aは、筆者らが開発した「超高速旋回式」のマイクロバブル発生法に限られた現象ということができます。
おそらく、他の二つは、それとは異なる発生法の結果であると思われます。
ここで、もう一つ重要な指摘を行っておきましょう。
すでに、マイクロバブルの寿命とは、マイクロバブルが発生してから消失までの時間のことをいいます。
この消失とは、それまで可視化されていたマイクロバブルが見えなくなることを意味します。
この際、「見えなくなる」とは、目視や可視化装置を用いて観察ができなくなることを意味します。
当然のことながら、目視と可視化装置を用いての観察には、その可視化範囲において、かなりの相違がありますが、ここでは、それを厳密に問題にすることは控えておきましょう。
そこで、マイクロバブルの収縮因を考察しますと、それは次の2つが考えられます。
①マイクロバブル内の気体成分が溶解し、その溶液を減少させる。
②マイクロバブルが収縮することで、その表面張力が増大し、その分だけ、気体容積を減少させる。
ここで、①の「溶解」とは何かが、厳密には問題になりますが、ここでは、その気体成分が周囲の液体成分に溶ける、あるいは輸送されるということにしておきましょう。
以上を踏まえ、ようやくですが、マイクロバブルの振動現象を考察することが可能になります。
私たちは、前述のマイクロスコープによる撮影において静止画のみならず動画の撮影も行っていました。
後者の撮影における撮影時間間隔は1/30秒でした。
当初は、マイクロバブルがかなりの周波数で振動しているとは思っていませんでしたので、この連続画像を0.1秒ごとにサンプリングし、その連続画像を並べて観察していました。
これでは、マイクロバブルの振動現象を見出すことができず、単にマイクロバブルの収縮現象を追跡することしかできませんでした。
それから、しばらくして、再度、マイクロバブルの収縮運動をより詳細に調べることになり、そのサンプリング時間を1/30秒で行ったところ、そこからきれいな振動特性が明らかになりました。
その振動数は約9ヘルツでした。
これは、1/30秒間隔でマイクロバブルの直径を計り、その平均をとった値です。その計測においては、同じマイクロバブルの直径を5回計測し、その上下の値を捨て、中間の3回の計測分を平均して求めることにしました。
また、この計測を気泡ごとに何回も行い、それぞれの平均振動数を求めましたが、いずれもその値は9ヘルツとなりました。
マイクロバブルが発生した後は、そこには周囲の液体が静水状態であり、そこでマイクロバブル振動しながら収縮しているという、ある意味で単純な環境条件下での運動ですので、その値がバラツクことはないのではないかと推察しました。
「マイクロバブルの収縮過程における振動数は9ヘルツである」
次回は、この9ヘルツ振動現象をより詳しく考察することにしましょう(つづく)。
この非常識を常識化していくには、それぞれのマイクロ・ナノバブルにおける何が同じで、そして何が違うか、を明らかにしていくしかありません。
この究明が進まないと、利用者、ひいては社会に対しても、ある意味での混迷や混乱を招くことになります。
昨日、ある待合所で観光パンフを眺めていたら、地方の温泉における「マイクロバブルで美人湯」という見出しが目に留まりました。
ここまで、マイクロバブルが普及しているのかと、少々喜びましたが、その説明を、いくら読み返しても、その内容をよく理解することができませんでした。
どうやら、お肌がしっとりとして保湿性が高まり、つるつるとなることで美人湯といいたかったようでした。
しかし、その意図において、マイクロバブルが具体的にどう作用するのかについては、きちんとした説明になっていませんでした。
また、炭酸ガスマイクロバブルを使用しているようでしたが、それについても、明確な説明がなされていませんでした。
おそらく、マイクロバブルや炭酸ガスマイクロバブルのことをよく理解できないままに、美人湯としての機能を、ひたすら説明しようとしたのだと思います。
しかし、それが上手くできずに、苦労してこの文書を認められたのではないでしょうか。
この方には、もう少しマイクロバブルのことを深く勉強していただく必要があると思いました。
前置きが長くなりました。
まず、マイクロバブルの収縮運動に関して若干の交通整理から始めることにしましょう。
そのために、下図を示します。
マイクロバブルの収縮運動の整理
発生後のマイクロバブルは、次の3つのCASEに分類されます。
CASE-A 収縮する 寿命が短い(数十秒以下) 振動する
CASE-B 収縮する 寿命が長い(数分~10分以上) 振動しない
CASE-C 膨張する 浮上して水表面で消失 高周波振動はない
この場合、CASE-Aは、筆者らが開発した「超高速旋回式」のマイクロバブル発生法に限られた現象ということができます。
おそらく、他の二つは、それとは異なる発生法の結果であると思われます。
ここで、もう一つ重要な指摘を行っておきましょう。
すでに、マイクロバブルの寿命とは、マイクロバブルが発生してから消失までの時間のことをいいます。
この消失とは、それまで可視化されていたマイクロバブルが見えなくなることを意味します。
この際、「見えなくなる」とは、目視や可視化装置を用いて観察ができなくなることを意味します。
当然のことながら、目視と可視化装置を用いての観察には、その可視化範囲において、かなりの相違がありますが、ここでは、それを厳密に問題にすることは控えておきましょう。
そこで、マイクロバブルの収縮因を考察しますと、それは次の2つが考えられます。
①マイクロバブル内の気体成分が溶解し、その溶液を減少させる。
②マイクロバブルが収縮することで、その表面張力が増大し、その分だけ、気体容積を減少させる。
ここで、①の「溶解」とは何かが、厳密には問題になりますが、ここでは、その気体成分が周囲の液体成分に溶ける、あるいは輸送されるということにしておきましょう。
以上を踏まえ、ようやくですが、マイクロバブルの振動現象を考察することが可能になります。
私たちは、前述のマイクロスコープによる撮影において静止画のみならず動画の撮影も行っていました。
後者の撮影における撮影時間間隔は1/30秒でした。
当初は、マイクロバブルがかなりの周波数で振動しているとは思っていませんでしたので、この連続画像を0.1秒ごとにサンプリングし、その連続画像を並べて観察していました。
これでは、マイクロバブルの振動現象を見出すことができず、単にマイクロバブルの収縮現象を追跡することしかできませんでした。
それから、しばらくして、再度、マイクロバブルの収縮運動をより詳細に調べることになり、そのサンプリング時間を1/30秒で行ったところ、そこからきれいな振動特性が明らかになりました。
その振動数は約9ヘルツでした。
これは、1/30秒間隔でマイクロバブルの直径を計り、その平均をとった値です。その計測においては、同じマイクロバブルの直径を5回計測し、その上下の値を捨て、中間の3回の計測分を平均して求めることにしました。
また、この計測を気泡ごとに何回も行い、それぞれの平均振動数を求めましたが、いずれもその値は9ヘルツとなりました。
マイクロバブルが発生した後は、そこには周囲の液体が静水状態であり、そこでマイクロバブル振動しながら収縮しているという、ある意味で単純な環境条件下での運動ですので、その値がバラツクことはないのではないかと推察しました。
「マイクロバブルの収縮過程における振動数は9ヘルツである」
次回は、この9ヘルツ振動現象をより詳しく考察することにしましょう(つづく)。
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