発生直後からのマイクロバブルの収縮運動について、より詳しく解説していくことにしましょう。

 すでに、発生後のマイクロバブルにおいては、その発生時の物理化学的特性を引きずりながらも、今度は、今度は液体中のマイクロバブル固有の運動を生起させるようになります。

  その発生起点におけるマイクロバブルに与えられた条件は、以下の通りです。

 ①マイクロバブル内の圧力P0は、ほぼマイナス0.06MPa(メガパスカル)に近い値である。

 ②マイクロバブルが発生させられた周囲水の状態は、通常の場合、常温常圧である。ただし、この圧力はプラス、すなわち正圧であり、これをP1とする。

 ③したがって、マイクロバブルの内外において圧力差(ΔP=P1-P0)が発生し、マイクロバブルは、周囲の液体に押されて収縮しようとする。

 ④この収縮は、マイクロバブル内外の圧力差がなくなるまで、すなわちΔP=0になるまで続こうとする。

 ⑤この最初の収縮が時間的に非常に緩和であれば、マイクロバブルの収縮は、ΔP=0になった時点で終了する(下図参照)。


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最初の収縮と収縮の停止

 ところが、実際には、このようなマイクロバブルの収縮の停止は起こりません。

 それは、最初のマイクロバブルの収縮が急激に瞬時において起こるからです。

 風船を手で押した後に、その手を離すと、その風船は急に膨らもうとします。

 この場合、手で急に押せば押すほど、それによって圧縮された風船内の空気は、その反動で短時間において膨張しようとします。

 これとほぼ同じことが、発生直後のマイクロバブルのなかと周囲で発生すると想定してもよいでしょう。

 流体力学の初歩において、私たちが学ぶことは、「圧力は瞬時にして伝わる」ということです。

 密閉された部屋の窓から風が入ってくると、その瞬間に部屋の中の圧力が高まります。

 マイクロバブルは最初の収縮において、自らの圧力を瞬時にして高め、その次の瞬間には、その反動によって膨らもうとするのです。

 これによって、収縮と膨張という作用が繰り返し行われるようになります。

 これを、「マイクロバブルの振動現象」といいます。

 じつは、水中のマイクロバブルを拡大して詳しく観察すると、まるでクラゲの運動のように、マイクロバブルは、ふわふわと振動していたことが明らかになりました。

 
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最初の収縮と膨張

 こうして、最初の収縮と膨張を終えたマイクロバブルは、連続して次の収縮と膨張を繰り返しながら全体としてはより小さくなっていきます。

 マイクロバブルの収縮運動における第2の特徴、それは「マイクロバブルの振動現象」でした。

 次回は、この振動現象により深く分け入ることにしましょう(つづく)。