マイクロバブルの直径が10㎛のときの静水中の上昇速度は、毎秒0.1㎜です。

 わずか1㎜ほど上昇するのに約10秒を要します。

 私たちの目からみれば、ほとんど止まっているようにしか見えません。

 ところが、これを、たとえば500倍に拡大して可視化したとしましょう。

 その画像では、その上昇速度も500倍になりますので、その実際の画像では、毎秒50㎜の移動速度として映し出されることになります。

 実際のマイクロスコープ画像を観ると、あっと今にマイクロバブルが上昇して視界から消えてしまいます。

 さて、これを、いかに鮮明な画像として可視化するか、その知恵を絞ることにしました。

 マイクロスコープを扱っている会社の若い社員が、「マイクロバブルを可視化できないので売れません」といったのを、こちらは「いや、できる、買う」と大見えを切ったのですから、ここはなんとかしなければなりません。

 そこで、静水中でマイクロバブルを上昇させる小さな水槽を設計製作することにしました。

 水槽の長さは、縦15㎝、幅4㎝、そのアクリル板の隙間は1㎜としました。

 また、奥側の壁には、長さ1㎜で最小目盛りが10㎛のスケールを埋め込みました。

 これで、直径が10㎛前後のマイクロバブルの大きさを計測できるようにしました。

 次は、手動の三次元トラバース(移動)装置を購入し、それにマイクロスコープのレンズを据え付け、マイクロバブルを追跡することにしました。

 その装置で、可視化された、毎秒5㎝前後で上昇するマイクロバブルを追跡してみましたが、この計測は、私では無理とすぐにわかりました。

 なにせ、画像のマイクロバブルを見ながら、2つの手で、トラバース装置の回転ネジ部をずらしてピントを合わせながら撮影していくのですから、これは神業に近い操作でした。

 「ここは、若い、そして目のいい学生を訓練し、その撮影のプロになってもらうしかない」

 こう思って、「この撮影のプロになってください。これができる人は日本のどこを探してもいませんので、あなたが、そのプロになってください。あなたであれば、きっとできます」

 こう学生を励ますと、芽が輝くようになり、しばらくすると、鮮明なマイクロバブルの可視化画像をいとも簡単に撮影できるようになりました。

 私も、実際に撮影をしている学生の姿を見ましたが、それはみごとなもので、その気になればできることを、その学生が証明してくれました。

 こういう時には、学生を労って、一緒の食事に誘うことを常としていました。

 おいしい食事をしながら感謝する、学生も大喜びでした。

 マイクロスコープ撮影の利点のもう一つは、その可視化画像の動画を撮影できたことでした。

 この動画の解析によって、マイクロバブルの収縮運動の詳細が明らかになりました。

 今振り返れば、このマイクロバブルの収縮運動に関する究明が、その後の研究の進展に小さくない影響を与えることになりました。

 換言すれば、それは、マイクロバブルに関する「新たな世界の入り口」が開かれたことを意味していました。

 その入り口とは、何か?

 そこに足を踏み入れることができるのは、収縮できるマイクロバブルのみなのか?

 収縮できない、すなわち、膨張するマイクロバブルでは、その侵入は不可能なのか?

 そうであれば、収縮するマイクロバブルと膨張するマイクロバブル(世間では、「白い泡」、「白濁泡」、一部には、それを「ナノバブル」と主張する論者までいる)とでは、何が違うのか?


 このような疑問が、髣髴(ほうふつ)と湧いてきます。

 ここが重要なところであり、それが解りにくいために、社会的に混乱を生み出す原因ともなっていますので、これから、この問題をじっくりと解きほぐし、その本質をやさしく解説していくことにしましょう。

 これは、「真の科学」と「ニセ科学」の境界にある問題であり、真の科学的証明を行うことは、同時に、そのニセ科学のニセモノぶりを明らかにすることでもあります。

 「ニセ科学に騙されてはいけません」

 これは、そのマイクロバブルのニセ科学の本質を真に理解していくことを通じて日本人が賢くなっていくという試験でもありますので、どうか、その点についても深い配慮をよろしくお願いいたします。

 以下の写真は、「膨張するマクロバブル」と「収縮するマイクロバブル」の比較です。見た目においても両者の違いは明らかです。

 それでは、次回から、いよいよ、新たなマイクロバブルの世界に分け入っていくことにしましょう(つづく)。

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                    マクロバブルとマイクロバブルの比較