「今日は、すばらしい結果を観たので、気分爽快だね」

 「そうですね。気分がよくなったついでに、いつものところに寄りましょうか」

 「そうだね。それはよい考えだね」

 車は、その養殖場から約10分のところにある「鈴木さんちのたまご屋」の店に向かいました。

 このところ出かけた時には、お土産を買って帰る、これが習慣になっています。

 この店には、養鶏場で生まれた卵を用いて、さまざまにユニークな食品が並べられています。

 まず、新鮮な卵が箱入りでありました。この20個入り、そして定番のロールケーキとジャンボシュークリームを買いました。

 それから、見かけたことがないトリメシの「むすび」3個と3キレの卵焼きが入ったパックが300円で売られていましたので、これは昼飯によいなと思い、3パックを買い込みました。

 そして、これも恒例になっているみそ漬け、キュウリ、ニンジン、ショウガ、ウリなどがかなりの量で入っていて、これも300円でしたので、迷わず購入しました。

 こうやって、今回はかなりの買い物になり、それらを車に運んで出発しようとしました。

 「今日は、ソフトクリームはよいのかな? 卵の味がする、ここのソフトクリームはおいしいよね」

 と、相棒に声をかけると、かれは、すぐに、再び店内に入っていきました。

 しばらくして、大きなソフトクリームを一つ抱えていました。これを二人で食べようとのことで、私も少しいただきました。

 二人で一つのソフトクリームをいただいた後に、「デコポン」を売っている農園の店があるというので、そこにも立ち寄ることにしました。

 そこは、「鈴木さんちのたまご屋」から車で10分のところにあり、すでに杵築市に入り、その山の斜面の道路沿いに店(豊予農園)がありました。

 小さな店頭の棚には、わずかにミカンの袋が並べられていました。

 試食用のミカンも置かれていましたので、それをいただいて吃驚しました。

 「これは、おいしいミカンだね」

 近頃、こんなミカンに出会ったことがありませんでした。

 こんなことをいい合って試食を続けていると女性の店員さんがやってきました。


 「デコポンは、いつごろ出るのですか?それにしても、このミカンはおいしいですね。試食用のミカンを2つも食べてしまいました」

 デコポンは、今月中旬から、そしておいしいミカンの種類は「南柑」と教えていただきました。

 「このミカン、とてもおいしいので、4袋ください」

 一袋は500円でしたが、たくさん買ったので、とても喜ばれました。

 その折、3枚のチラシをいただきました。どうやら、このミカンのおいしさの秘訣は完熟させているところにあるようで、ここでは果物を大切に育てられていることを知りました。

 「デコポンもおいしそうだね」

 「以前に、そのデコポンを買って贈り物にしたことがあります。その時に、いくつか買って食べましたが、あれは一級品の味でした」

 「そうか、あの時のデコポンが、ここのものだったのですね。たしかにおいしかったね」

 「あれだったら、贈り物に最適ですよ」

 「そうだね、いくつか贈り先がありますので、買いに行きましょう」

 帰ってから、
そのミカンが食卓の上に山のように積み上げられました。

 このように、ミカンがふんだんにある光景は久しぶりです。

 毎日、数個ずついただいていると、子供の頃のことを思い出しました。

 私は大分県の宇佐というところで育ちました。

 あまり裕福な家庭ではありませんでしたので、この季節になると形の悪い小さなミカンが「おやつ」でした。

 それゆえか、ミカンだけはよく食べた記憶があります。

 なかには、酸っぱいミカンもあり、たまに甘いミカンに出会うと喜んでいました。

 小さくて酸っぱいのもあったけど、たくさん食べることもできたミカン、懐かしい思い出です(つづく)。
siroihana
白い花が夕陽に染まって色づいて見えていました。