白い泡の正体は、そのサイズが50~80㎛程度の大きさの気泡であったことが判明しました。

 それが比較的多く存在することで白く見えていたのです。

 白く見えるのは、マイクロバブルの界面が光に反射したことによるものであり、もともと空気は透明です。

 この反射光がないと、あるいは小さいと、それは白く見えません。

 かれらが持ってきた装置(「加圧溶解式」、あるいは「減圧式」と呼ばれている)は、最初に空気を圧縮して加圧し、その後、減圧弁で圧力を下げることによって気泡核が膨らんでマイクロバブルを発生させる方式でした。

 したがって、気泡が膨らみながら発生しますので、その気泡サイズを制御することができません。

 もともと加圧状態にあった気泡が、減圧によって膨らんでいきますので、その気泡の内部の圧力と外側の液体の圧力がつりあうことで気泡の形成が可能になります。

 この圧力は、液体(水道水)の表面張力ともつりあい、これによって、おそらく気泡のサイズが決まるのだと思います。

 ですから、この気泡のサイズは、出たとこ勝負といいますか、そのサイズを制御できないままで膨らみながら発生してしまいます。

 ところが、私どもが開発した超高速旋回式マイクロバブル発生装置においては、これと全く異なっていて、その発生直後から、そのほとんどが収縮していくマイクロバブルなのです。

 片や膨張するマイクロバブル、片や収縮するマイクロバブルであり、これは相反する現象ということができます。

 この収縮するマイクロバブルについては、後ほど詳しく説明します。

 さて、その会社の方々を前にしての試験において、次に行ったことは、この白い泡を含む水の性質を調べることでした。

 「水の性質を調べるには、その水素イオン濃度を計測することが基本中の基本です。

 ここに、高性能の水素イオン濃度計(pHメーター)がありますので、マイクロバブル発生後の水素イオン濃度を計ることにしましょう」


 ある会社のお二人は、持参した装置で発生したマイクロバブルが、私どもが開発した装置で発生したマイクロバブルとは、そのサイズにおいてかなりの差異を示したことから、そのことが頭の中に残っていたのでしょうか。

 何もいわずに、私どもが行うことを注視されていました。

 「それでは、マイクロバブルを発生させてください。

 開始とともに、pHメーターでの計測を作動させます。

 私どもの装置の場合、マイクロバブルを発生させた液体のpHは、徐々に上がっていきます。

 はたして、そうなるのか、ならないのか。

 ここが注目点です」

 こういいながら、マイクロバブルを発生させると、そのpHの値は、上昇せず、逆に、徐々に下がっていくという傾向を示し始めました。

 「ここでも、反対の現象が起きましたね。これは、いったい、どういうことなのでしょうか?」

 無言のかれらは、首をかしげていました(つづく)。
choukousokumb
 超高速旋回式マイクロバブル発生装置で発生したマイクロバブル(サイズも白さも異なっている、いわゆる「白濁化」は起こらない)