久しぶりに「夢シリーズ」の執筆を思いつきました。

 今調べてみると、この夢シリーズは、「寅次郎の夢(吉田松陰のこと)」以来のことですから、じつに4年ぶりのことになります。

 夢は「はかないもの」ですが、その代わり、自由に、その夢を見ることも、そして描くこともできます。

 しかし、まったくの夢物語で、それが現実離れして、説得力がないものとなれば、それは直ぐに読まれなくなってしまうという怖さもあります。

 ですから、ここでは、可能なかぎり現実感があり、しかもロマンを含めた「夢物語」にしていくことに意味があり、そして醍醐味も添えることが重要ではないかと思っています。

 果たして、それは可能か?

 そのことが試されますね。

 そのような問題意識を抱きながら、真摯に、そしてゆかいに、この物語に分け入らせていただくことにしましょう。

 そもそものきっかけは、日本経済新聞の特集記事において、コンピュータ(AI)を用いた技術の発達によって、2045年には考えられないようなことが起こると予測されていたことにありました。

 先日は、将棋の世界において人よりもコンピュータが勝るようになり、それを使った、使わないという話題がメディアを賑わしていました。

 今日のニュースによれば、囲碁の世界においても、人とコンピュータの戦いが始まるとのことでした。

 今の時点においても、将棋の世界では、コンピュータが上位になっているのですから、2045年の約30年後には、ダントツの結果になっていることでしょう。

 それから、その未来においては、「ノーベル賞」がなくなり、作詞作曲家もいなくなっていて、コンピュータが歌やシンフォニーを作るというのですから、これは穏やかな話ではありません。

 やや、拾い読みでしたので、これぐらいに留めますが、「本当にそうなのかな?」と思いながらも、そこには、興味深いことが指摘されていましたので、それを参考にしながら、マイクロバブルの「嫁物語」を考えてみることにしました。

 前置きは、このぐらいにして、その本編を次に示すことにしましょう。

 最初のシーンは、2045年における私の回顧による二人の会話から始まります。

 「まだ、生きながらえています。あれから、大きな病気もせずに過ごせたのは、医学の急速な発展のおかげでした。

 日本人の平均寿命は、女性で105歳、男性も、最近になって100歳を超えたようですが、詳しくは、新聞を見ていませんのでよく解りません。

 すでに、紙の新聞はかなりの昔になくなってしまいました。今では、コンピュータが、私の読みたい記事を選んで音声で聞かせてくれますので、見るという行為はなくなってしまいました。

 最近は、その読み聞かせも、どうでもよくなって、コンピュータのスイッチをオフしたままです」


 「そうですよ、もう今のコンピュータには付いていけません」

 「そうだよね、何もかもやってのけるのだから、おもしろくなくなってしまったよ。

 それにしても、お互いに長生きしてきたね。

 30年前から、100歳まで生きてくださいといわれ続け、とうとう、その近くまできてしまった。

 これは、マイクロバブルのおかげだよ」


 「そうですね。マイクロバブルのおかげで、ずっと大きな病気とは無縁でやって来れましたね」

 「マイクロバブル、これは間違いのない、いや、間違いがないどころか、この30年において、もっともすばらしい発展と豊かさをもたらした技術のひとつだね。

 私も、これに関わることができてよかったよ。

 この技術を世に問うたのが1995年だったから、そこから数えると約50年、半世紀にわたって発展し、生命力を発揮してきのだから、これは真にすばらしいことだし、幸運なことだったね」

 「私も、その幸運の『ひとかけら』をいただくことができました。

 なによりも、あなたが懸命に取り組む姿を半世紀にわたって観ることができたのですから、こんな幸運なことはありませんよ!」

 「そうだよね、今、その半世紀を振り返ると、まるで走馬灯のように、思い出深いことが鮮やかに蘇ってくるよ!」

 このような会話によって、この夢物語が始まることになりました。

 次回は、この会話を、より進めることによって、この夢物語のなかに、ゆかいに分け入ることにしましょう(つづく)。
ro-zumari-
ローズマリー