本日は、慌ただしい一日でした。

 昼からは、JR大神駅(日豊線)で、お二人を迎えました。

 そのお一人は、地元の高専のT先生、もう一人は、広島から来られた教え子のMさんでした。

 ともに、マイクロバブル技術に、長く強い関心を寄せられ続けてこられた方ですので、それにふさわしい視察日程を設定することにしました。

 最初の訪問地は、このJRの駅から約10分のところにある水産養殖場でした。

 ここは、9月の末から、マイクロバブル稼働を開始されていましたので、本日までに約1か月が経過していました。

 私どもの前回の視察は、その稼働から10日目でしたので、その視察からは約20日を経ていました。

 まず、その養殖池を見て、「おやっ」と思いました。

 それを近づいてよく見ると、池一面にわたって、白色の泡の塊(直径数㎝~数十㎝)が無数に浮かんでいたからでした。

 これは、私にとっても初めての光景でしたので、同伴のお二人と相棒の三人にとっては、おそらく驚きの光景ではなかったかと思いました。

 しかも、この泡の大群は、池内をゆっくりと回遊していました。

ーーー 最初の頃は、このような泡ではなく、汚れが浮遊していたのに、なぜであろうか?

 思いがけない光景を目の前にして、その理由を考えるために、その養殖場のオーナーに質問をすることにしました。

 「このように泡の塊が浮遊してきたのは、最近のことですか?」

 「そうです。最近のことです」

 「今のマイクロバブルの供給時間は、24時間ですか?」

 「24時間の連続運転です」

 これは、「養殖生物の様子を見ながら、その調子が良ければ24時間運転を行ってもよいですよ」という私の前回訪問時のアドバイスを受けてのことでした。

 この場合、その調子とは水産生物の成長具合のことであり、よく成長ぶりを確認できた場合には、より多くマイクロバブルを与えた方がよいという示唆に基づくものでした。

ーーー 24時間連続でマイクロバブルを供給すると、当然のことながら、池水の溶存酸素濃度は高まり、池内には、溶存酸素濃度が十分に高い水が豊富になる。

 それが豊富になれば、溶解効率は飽和状態に近くなり、それ以上は溶けなくなる。

 そうなると、表面に浮いてくる泡の量も増えてくる。


 ここまで考えて、マイクロバブルの発生地点の様子を見に行きました。

ーーー 相変わらず、マイクロバブルは大量に発生している。

 前回は、その一部が水面に到達していたが、今回はそれがなく、発生したほとんどすべてが水面にまで到達しないまま流動している。

 これは、ほぼ100%の空気マイクロバブルが水中で溶けていると考えてもよい。

 マイクロバブルの発生状況には大きな違いがなく、そこで発生したマイクロバブルが水面に到達して、それが、そのまま池内に拡散していったのではないことが判明しました。

ーーー それでは、何によって、このような違いが生まれたのであろうか?

 残る因子としては、気温が下がってきたこと、そして新たに以前とは異なる何かの現象が生まれたことが推察できました。

ーーー 気温が下がって、マイクロバブがより溶けやすくなる。

 一方で、一端、マイクロバブルが溶解した液体が流動することで、より上部に運ばれた液体の圧力が減じられ、そこで、小さな汚れやプランクトンに付着したマイクロバブルが再発生したのか?

 表面に浮遊している泡のサイズは比較的大きいので、大きな泡が、小さいマイクロバブルを吸収してより大きな泡になったことが考えられる。

 これは、栓を抜いてコップにビールを注いだ時に、その泡が浮上して大きくなる現象と類似した現象ではないか。

 それから、初期の頃に、あれほど夥しく浮上していた汚れ(バイオフイルムに似た斑点状の塊、サイズは直径数㎜~数㎝)は、ほとんど皆無に近い状態になっている。

 これは、その水質浄化が進展したことを意味している。

 おそらく、その汚れは無くなってしまったのであろう」

 これは、そこで生息している水産生物にとって、とても好ましい現象でした。


 そこで次回は、前回の視察においては観察できなかった「新たな現象」についても言及することにしましょう
(つづく)。
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国東安岐港の競り