物事は、いったん続き始めると、しばらく続くようであり、本日も、朝から自治体関係で創業者支援をなさっている方の訪問を受けました。
この方は、非常に熱心な方で、マイクロバブル技術について勉強したいと思ったらしく、月に1回ぐらいのペースでやってこられ、さまざまな角度からマイクロバブル技術についての学習と談義を繰り返されています。
すでに、その学習会も今日で4回目、いよいよ本格的になってきて、かれもマイクロバブルの魅力に分け入り始めたということなのでしょうか。
この方は、もともとは銀行で働かれていたそうで、企業融資や支援の仕事を通じてN県に出向されたのが契機となり、そこで企業支援を行うプロになられ、今は、それを発展させて創業支援で活躍されているという経歴の持ち主でした。
「もともとは文科系ですので、マイクロバブルの物理化学がどうだこうだといってもよく理解するこができません。
しかし、マイクロバブルのことを聞けば聞くほどおもしろいと思うようになり、先生のところに、こうして通うようになりました」
「それはありがたいことですね。そこに、『国東下村塾』という看板がかかっていますが、あなたも大切な塾生として対応させていただいております。
吉田松陰は、塾生たちの要望や課題をみんなで学習し、解決しようという教育方針を貫きました。
宮沢賢治は、東や西に農業のことを知りたい、学びたいという人がいれば、そこに出向いて教えていました。
これらの偉大な方々の教えは、今になっても立派に通じるのではないかと思っています」
「吉田松陰といえば、幕末のころですから100年以上も前のことですね。それが、今も生きているということはすばらしいことですね」
「そうです。100年あるいは何十年と貫かれてきたことには、時代を貫く重要な何かがありますね。何事も長いスパンで見ることが大切ですね」
「じつは、昨日、この近くで『地域をどう振興させるか』に関して議論する機会がありました。
少し前から、現場のニーズ合った技術や商品づくりが重要であると盛んにいわれるようになりましたが、そのニーズを意識するあまり、そこから出てきたアイデアは小粒なものばかりになり、大きく発展する要素がほとんどなくなってしまいました」
「その傾向は、学者の世界でも同じですよ。すぐに成果が出るようなテーマを選び、論文を書いて終わりという類が多いようです。
しかし、世の中を変えるような研究成果ですと、そうはいきません。そこで、5、6年というタイムスパンに関する用語がよく出てきます」
「といいますと?」
「これには、2つの意味があります。そのひとつは、『新らしい科学や技術といっても、みんなが取り組むようになると、だいたい5、6年でやることがなくなって廃れてしまう』と、よくいわれていることです」
「なるほど・・・」
「新しいものが出ても、それが5、6年ですぐに消えてしまう。
私も、著名な学者から、マイクロバブルついても、5年もするとやることがなくなって終わりに向かうといわれたことがあります。
しかし、マイクロバブルの場合は、その予言が的中しませんでした。その5、6年の常識が通用せず、なんと、それどころか、20年も過ぎてしまいました。
マイクロバブル、その研究テーマの類ではなかったということです」
「本当に、そうですね」
「2つめの『5、6年』は、研究開発を予測する際に、『2、3年後に成果を出す』というと、それはすぐのことになりますので、その成果がない場合には、たちまち困ってしまいます。
逆に、10年、15年というと、それは難しい研究開発だと思われ、相手にされなくなります。
そこで、決まって『実用化には5、6年かかる』というようになっています」
「それで、実際は、どうなるのですか?」
「発表直後には、メディアでもてはやされても、その5、6年が経過してしまうころには、忘れさられてしまう事例が少なくないようです」
「そうですか」
「やはり、10年、20年のスパンでじっくり考えて、それを土台にして、より短いスパンにおいても連続してヒットを飛ばしていく、このようなスタイルがよいのではないかと思います。
マイクロバブル技術は、そのようなスタイルと実践に適しているのではないかと思っています」
「そこが、一番おもしろいところですよね!」
「一言でいえば、技術戦略の問題だと思います。その技術戦略が豊かでないために、目先のことに振り回され、時が経過すると忘れてしまう、このような風潮があるのだと思います。
これは文化的問題ともいえ、日本発のオリジナル技術をじっくり構築して世界に広げていく、これがなかなかできない、その理由には、周到な技術戦略を練ることができていないことがあるのではないかと思っています」
互いに、思い当たることがあったからでしょうか、このようなやり取りが、とんとんと進んでいきました。
ーーー この調子だと、今日も時間切れになってしまうな!
と思いながら、マイクロバブルの技術戦略に関する議論を深めるために、次の1枚のスライドを示すことにしました。
議論は、この図面中の赤矢印で示された領域に示されている「いくつもの技術イノベーションの核」形成に関することに集中していきました。
「この核を、小さくてもよいから、いくつか作り、それを連続的に爆発できるようにする技術戦略、これがとても重要だと考えています」
「なるほど、これだと短い期間では達成できませんね」
「その通りです。この黄色の矢印から赤の矢印に向かうには、その時代の状況、おかれている経済的事情、国内外の環境、現場のニーズ、それを支える独創的技術などの必要条件をよく考え、それらを幾重にも構築しながら、実践的に達成していくことが必要になります」
「それを地方から発信していくとすると、さらに困難な要素が加わりますね!」
「ご指摘の通りです。無理な形態で、それを実現しようとすると失敗や頓挫がすぐに待ち構えていますので要注意です」
こうして、この議論はさらに深みに分け入っていくことになりました(つづく)。
この方は、非常に熱心な方で、マイクロバブル技術について勉強したいと思ったらしく、月に1回ぐらいのペースでやってこられ、さまざまな角度からマイクロバブル技術についての学習と談義を繰り返されています。
すでに、その学習会も今日で4回目、いよいよ本格的になってきて、かれもマイクロバブルの魅力に分け入り始めたということなのでしょうか。
この方は、もともとは銀行で働かれていたそうで、企業融資や支援の仕事を通じてN県に出向されたのが契機となり、そこで企業支援を行うプロになられ、今は、それを発展させて創業支援で活躍されているという経歴の持ち主でした。
「もともとは文科系ですので、マイクロバブルの物理化学がどうだこうだといってもよく理解するこができません。
しかし、マイクロバブルのことを聞けば聞くほどおもしろいと思うようになり、先生のところに、こうして通うようになりました」
「それはありがたいことですね。そこに、『国東下村塾』という看板がかかっていますが、あなたも大切な塾生として対応させていただいております。
吉田松陰は、塾生たちの要望や課題をみんなで学習し、解決しようという教育方針を貫きました。
宮沢賢治は、東や西に農業のことを知りたい、学びたいという人がいれば、そこに出向いて教えていました。
これらの偉大な方々の教えは、今になっても立派に通じるのではないかと思っています」
「吉田松陰といえば、幕末のころですから100年以上も前のことですね。それが、今も生きているということはすばらしいことですね」
「そうです。100年あるいは何十年と貫かれてきたことには、時代を貫く重要な何かがありますね。何事も長いスパンで見ることが大切ですね」
「じつは、昨日、この近くで『地域をどう振興させるか』に関して議論する機会がありました。
少し前から、現場のニーズ合った技術や商品づくりが重要であると盛んにいわれるようになりましたが、そのニーズを意識するあまり、そこから出てきたアイデアは小粒なものばかりになり、大きく発展する要素がほとんどなくなってしまいました」
「その傾向は、学者の世界でも同じですよ。すぐに成果が出るようなテーマを選び、論文を書いて終わりという類が多いようです。
しかし、世の中を変えるような研究成果ですと、そうはいきません。そこで、5、6年というタイムスパンに関する用語がよく出てきます」
「といいますと?」
「これには、2つの意味があります。そのひとつは、『新らしい科学や技術といっても、みんなが取り組むようになると、だいたい5、6年でやることがなくなって廃れてしまう』と、よくいわれていることです」
「なるほど・・・」
「新しいものが出ても、それが5、6年ですぐに消えてしまう。
私も、著名な学者から、マイクロバブルついても、5年もするとやることがなくなって終わりに向かうといわれたことがあります。
しかし、マイクロバブルの場合は、その予言が的中しませんでした。その5、6年の常識が通用せず、なんと、それどころか、20年も過ぎてしまいました。
マイクロバブル、その研究テーマの類ではなかったということです」
「本当に、そうですね」
「2つめの『5、6年』は、研究開発を予測する際に、『2、3年後に成果を出す』というと、それはすぐのことになりますので、その成果がない場合には、たちまち困ってしまいます。
逆に、10年、15年というと、それは難しい研究開発だと思われ、相手にされなくなります。
そこで、決まって『実用化には5、6年かかる』というようになっています」
「それで、実際は、どうなるのですか?」
「発表直後には、メディアでもてはやされても、その5、6年が経過してしまうころには、忘れさられてしまう事例が少なくないようです」
「そうですか」
「やはり、10年、20年のスパンでじっくり考えて、それを土台にして、より短いスパンにおいても連続してヒットを飛ばしていく、このようなスタイルがよいのではないかと思います。
マイクロバブル技術は、そのようなスタイルと実践に適しているのではないかと思っています」
「そこが、一番おもしろいところですよね!」
「一言でいえば、技術戦略の問題だと思います。その技術戦略が豊かでないために、目先のことに振り回され、時が経過すると忘れてしまう、このような風潮があるのだと思います。
これは文化的問題ともいえ、日本発のオリジナル技術をじっくり構築して世界に広げていく、これがなかなかできない、その理由には、周到な技術戦略を練ることができていないことがあるのではないかと思っています」
互いに、思い当たることがあったからでしょうか、このようなやり取りが、とんとんと進んでいきました。
ーーー この調子だと、今日も時間切れになってしまうな!
と思いながら、マイクロバブルの技術戦略に関する議論を深めるために、次の1枚のスライドを示すことにしました。
議論は、この図面中の赤矢印で示された領域に示されている「いくつもの技術イノベーションの核」形成に関することに集中していきました。
「この核を、小さくてもよいから、いくつか作り、それを連続的に爆発できるようにする技術戦略、これがとても重要だと考えています」
「なるほど、これだと短い期間では達成できませんね」
「その通りです。この黄色の矢印から赤の矢印に向かうには、その時代の状況、おかれている経済的事情、国内外の環境、現場のニーズ、それを支える独創的技術などの必要条件をよく考え、それらを幾重にも構築しながら、実践的に達成していくことが必要になります」
「それを地方から発信していくとすると、さらに困難な要素が加わりますね!」
「ご指摘の通りです。無理な形態で、それを実現しようとすると失敗や頓挫がすぐに待ち構えていますので要注意です」
こうして、この議論はさらに深みに分け入っていくことになりました(つづく)。
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