わずか2回のマイクロバブル温浴によって、ペロの両足が曲がるようになりました。

 これは、Oさんにとっては、とても信じがたい奇跡のような出来事でした。

 しかし、一度曲げると、しばらくして元に戻ってはいくのですが、それでも、何か、そこに希望を感じることができました。

 「よかった!」

 いつしか、それを見ていたOさんの目も潤んでいました。

 「もっと早く、気づけばよかった!」

 ほぼ毎日、拙著「マイクロバブル博士の『マイクロバブル旅日記』」を読んでいたのですが、それからヒントを得てマイクロバブルを実際にペロに使うというところまで、考えが及びませんでした。

 獣医師からも回復の見込みなしといわれ、家族からも大そう心配されていたペロだったのですが、そこにマイクロバブル浴が光明をもたらしました。


曲げられた足が、しばらくすると、元の伸びた状態に戻っていた

 Oさんや家族にとっては「絶望が希望」に変化し、毎日10分間のマイクロバブル温浴が続けられました。

 その結果、排泄が改善し、おむつを取ることができました。

 それから、膨大な抜け毛が、いつしかなくなり、まったく抜けないようになりました。

 冷たかった足に温みが戻りました。

 マイクロバブルは、これほどまでに劇的にペロを変えてしまうのか、それはとても「ふしぎ」なことでした。

 「なぜであろうか?」

 これまでの実験結果や寄せられた情報を考慮しますと、マイクロバブル温浴には、次の2つの作用があるのではないかと推察しています。

 ①末梢血管における血流促進

 ②マイクロバブルが皮膚の知覚神経を刺激し、脳への伝達機能を改善させる

 ①については、実際に犬を用いて、その測定を行い、その「血流促進」が起こることを観察しています。

 おそらく、最初は、皮膚表面で、その促進が起こり、それが犬の静脈系統に影響し、心臓に集められ、その心臓から動脈系統へ波及し、身体全体の「血の巡り」をよくしていくのではないかと推測しています。

 しかし、この詳しいメカニズムは不明であり、この仮説を究明していく必要があると思っています。

 ②についても、これは仮説の段階に留まっており、より系統的で詳細な科学的検証が必要な必要な課題といえます。

 これは、①の作用が、脳内の血流にどのように影響するのか、そしてそれが脳内の神経をどう刺激し、その結果として、脳からどのような指令が出されるようになるのか、まことに興味深い現象のように思われます。

 「なぜ、これほどまでに、ドラマチックな変化が起きたのか?」

 この点に関しては、もう一度、Oさんがペロに施した温浴法をよく観察してみることにしましょう。


 ここには、あり合わせの装置や容器を用いたという意味で、偶然の要素が含まれていますが、同時に、そこには合理的な要素も存在していました。

 その第1は、ペロの身体をやっと折り曲げて入ることができる、いわば小さくて狭い温浴容器を用いたことでした。

 この時点で、ペロの後ろ足はまったく動かなくなっていましたので、身体を折り曲げて入浴させることで、全身を浸潤させることができました。

 また、獣医師によるペロの症状は重度の「ヘルニア」でしたが、この入浴法においては、その障害を有していた背骨の方に、直接マイクロバブルを噴出させることができたことがよかったのだと思います。

 第2は、マイクロバブル発生装置を2台用いたことでした。

 これによって狭い容器のなかで、すなわち少量のお湯のなかで大量のマイクロバブルを発生させたことが、その威力を発揮させることに結びついたのでした。

 通常のヒトにおけるマイクロバブル入浴の場合、お湯200リットルに対してマイクロバブル装置1機を用います。

 これに対し、ペロの場合は、お湯30リットルに対し、マイクロバブル装置2機の割合ですから、この比較を行いますと、ペロの場合はヒトと比較して約13.3倍の効率に相当していました。

 第3は、強力なポンプを用いたことでした。

 おそらく、この効果を加えると、その効率は約20倍近くまで高くなっていたのではないかと思われます。

 第4は、ペロの身体がヒトに対して格段に小さいことも幸いしました。

 その体重差を比較しますと、7倍ぐらいの違いはありそうなので、それを踏まえると、最終的な効率は、約140倍の域まで達してしまいます。

 これらの「あり合わせの偶然」が重なり、マイクロバブルの優れた物理化学的特性と生物的作用という「必然性」が、今回のような奇跡に近いことをもたらしたのではないかと推理しています。

 こうして、「あり合わせ」であっても、その偶然によって幸福の女神が微笑んでくれたのですから、これは「苦楽吉祥」の出来事ということができます。

 これは、「苦労があるから楽しみもある」という意味だそうです。

 Oさんの楽しみは、ペロのリハビリでした。


 次回は、そのリハビリについて分け入ることにしましょう(つづく)