今回のN君の夏休みの自由研究において、最も重視したことは、いかに、マイクロバブルの体験的学習を行い、印象付けるかにありました。

 学習には、知識を知識として理解する方法と、それを身体で覚える方法の2つがあります。

 後者を、私は、体験的学習法と呼んでいます。


 前者については、N君が持ち寄ってくれた質問に答えるという方法で対応しました。

 しかし、この方法では、いかにやさしく、そして丁寧に説明を行っても、そこには限界があると思っていましたので、それを補い、強める方法として、後者を採用することにしました。

 その第一は、N君自身によって、マイクロバブル育ちのヘチマを収穫することでした。

 もちろん、ヘチマの収穫は、彼にとって初めてのことですから、そのヘチマの前で、わくわくした表情を浮かべていました。

 これから、ハサミで大きなヘチマを切り落とすようにいわれ、とても喜んでいました。

 ところが、いざハサミで切ろうとしても、それが簡単に切り落とせないので、それこそしかめ面をして全力で切り落とすことになりました。

 「ヘチマの実は、簡単には切り落とせない」

 このことを強烈な印象とともに学ぶことができました。

 次は、その収穫したヘチマを縦に2つに切ることを促しました。

 そしたら、どうでしょう。

 ヘチマの実は硬いと思われたからでしょうか。そばにいたお母さんが、それを自分で切るといいだして、N君も、それを簡単に受け入れてしまいました。

 おそらく、お母さんは、ヘチマが硬くて、それをN君が上手く切ることができないであろうと判断されたのだと思いますが、実際は、その予想と大きく違っていました。

 意外なほど、包丁は、ヘチマの中にさっと切り込み、そのやわらかさのあまり、包丁の動作を、少し切り込んだところで停止させました。

 「これなら、Nでも切ることができる」と判断されたからでしょう。

 包丁をN君に手渡し、ヘチマは、無事、真二つに切り落とされました。

 思っていた以上に柔らかかった、これがお母さんとN君が抱いた印象でした。

 ヘチマの茎は硬いが、実は思いのほか柔らかい、これが、お母さんとN君が体験的に学習したことでした。

 第二は、マイクロバブルを直に見て、触り、計るという実験を行いました。

 もともとの自由研究の研究は、悩みの種であった自分の指の荒れで皮がむけて困っていたがきっかけでしたから、その手指を対象にしてマイクロバブル実験を行うのが一番良いと判断していました。

  そこで、問題があった、その指を用いてマイクロバブルの血流実験を行うことにしました。

 なぜ、自分の指の皮がむけないようになったのか、指荒れが改善したのか、ここに迫るマイクロバブル実験を行うことが、その核心的問題に到達できる最も良い方法であると考えたからでした。

 「はたして、この作戦は功を奏するか?」

 N君に、その被験者になっていただき、そこで起こることを理解することができるのか、ここが重要な課題でした。

 まず、実験期間中の合計で22分の間、じっと安静にしておれるか、が問われることになりました。

 周知のように、2、3歳児の場合は15秒、おそらく小学生であれば数分が限度を迎えますので、集中力を発揮して、22分の安静を保つことは、そう簡単なことではありませんでした。

 そこで、実験中には、その集中が途切れそうになると、こちらから話しかけて、それを維持できるように手助けを繰り返しました。

 具体的には、自分の指の皮がむけていたところに、センサーを付けて、その部分の皮膚表面近くの血流を計る実験でしたので、その計測結果についても、モニターを見ながら、その説明も加えることにしました。

 自分の指の皮が、なぜむけたのか。

 なぜ、痛みを発したのか。

 そして、なぜ自分が、その荒れや痛みに苦しんだのか。

 それらを思い浮かべて、その謎解きを行っていることを、かれなりに理解できるように語りかけました。

 また、その実験を終了した時点で、どのようにマイクロバブルで血流が増えたのかについても説明を行いました。

 次に、第2回、第3回を通じて、マイクロバブルを発生させているなかに、数ミリリットルの犬用シャンプー液を注入して、泡の出具合に関する実験も行いました。

 この泡のことを「マイクロバブルフォーム」と呼んでいることを示し、それがわずかなシャンプー液で大量に発生することを実際に観察していただきました。

  思いもよらず、マイクロバブルの泡が大量に発生したことでN君は大喜び、自分の指で、その泡の感触を楽しんでいました。

 ここで、今度は、そのN君に、私から、このマイクロバブルフォームに関する新たな実験を持ちかけました。

 「N君、今から、お父さんも吃驚(びっくり)するような実験をやろうと思うのだけど、協力してくれる?」

 もちろん、N君は、本気でお父さんを大喜びさせようという顔つきになっていました。

 こうして、マイクロバブルの基礎を学習しながら、同時に最先端の実験と重要な成果を得ることができました。

 「これで、お父さんも吃驚(びっくり)すると思うよ!」

 おかげで、N君と私は、充実した一時を過ごすことができました。

 私にとっても、思い出に残る、真に印象深い、夏休みの自由研究となりました。

(つづく)。
n-18
                   真剣に実験に取り組んでいるN君