質問5:マイクロバブルは、どういうきっかけで作ったのですか?
山口県周南市(しゅうなんし)のT高専(こうせん)にいた時に、地元の中小企業から、ある下水処理(げすいしょり)の開発委員会(かいはついいんかい)への参加依頼(さんかいらい)がありました。
そのときの会議(かいぎ)で、当時(とうじ)、もっともすぐれているといわれていた曝気装置(ばっきそうち、こまかい気泡(きほう)を水の中で発生(はっせい)させるそうち)を用いた実験(じっけん)結果(けっか)が報告(ほうこく)されました。
わたしは、その結果の問題点(もんだいてん)がわかったので、その誤(あやま)りを指摘(してき)しました。
その社長(しゃちょう)さんほかは、それを認(みと)めたくなかったようでしたが、何回(なんかい)、実験を行っても、同じ結果が出てきましたので、最後(さいご)には、わたしの指摘を認めざるをえませんでした。
「その曝気(ばっき)装置に問題(もんだい)があります」
というと、「そうでしたら、先生、あたらしい装置(そうち)を作ってください」、という依頼(いらい)をうけることになりました。
「いいですよ。やりましょう」
と、すぐに引(ひ)き受(う)けましたが、内心(ないしん)は、それができるかどうか、心配(しんぱい)でした。
まず、その一番よいと考えられていた装置の解説(かいせつ)を読(よ)ませていただきました。
すると、どうでしょう。
この装置(そうち)は、世界(せかい)12か国で特許(とっきょ)を取得(しゅとく)していました(特許とは、その技術(ぎじゅつ)を公開(こうかい)するかわりに、その使用権利(しようけんり)が与えられる仕組み(しくみ)のことです)。
しかし、この装置には、もっとも重要(じゅうよう)な部分で、大きな誤(あやま)りがありました。
この装置のなかに、ある突起物(とっきぶつ、「たばこ」を短くしたような形のもの)があり、それに空気の塊(かたまり)をぶっつけることで、より小さな気泡(きほう、ミリバブル)発生させようとしていました。
「この突起に、空気をぶっつけても、小さい気泡はできない。むしろない方がよい」
こういっても、だれも、それを信用(しんよう)してくれませんでした。
「そうであれば、自分で証明(しょうめい)するしかない」
こう思って、実際(じっさい)に、その突起(とっき)を取り去(さ)った実験を行うと、よりち小さな気泡を作りだすことができました。
その結果、新しい気泡発生装置(きほうはっせいそうち)ができあがり、その特許(とっきょ)を取ることができました。
しかし、この装置では、マイクロバブルを発生させることができませんでした。
この装置では、その直径(ちょっけい)が、0.1~0.3㎜(ミリメートル)ていどの気泡(きほう)しか作れなかったのです。
それから、「もっと小さい気泡を作りたい」と思うようになり、毎夜(まいよ)の実験がはじめりました。
しかし、いっこうに、より小さい気泡を作りだすことはできませんでした。
夜から実験をはじめて朝をむかえるという日々(ひび)がつづきました。
それでも、この課題(かだい)の解決(かいけつ)はむずかしく、その後、マイクロバブルを発生できるようになるまで約15年の歳月(さいげつ)を費(つい)やしてしまいました。
この間のマイクロバブルの誕生(たんじょう)の「はなし」は、別の機会(きかい)に述(の)べることにしましょう。
第4質問(しつもん)の回答(かいとう)は、以下のとおりです。
「地元の小さな会社から、下水処理(げすいしょり)にかんする開発(かいはつ)の依頼(いらい)をうけて、ミリバブルを発生させる装置(そうち)の検討(けんとう)を行うことが、きっかけでした。
当時(とうじ)、一番よいといわれていたミリバブル発生装置(はっせいそうち)の大きな誤(あやま)りを見つけ、それを直すことで新しい装置を作ることができ、特許(とっきょ)もとりました。
しかし、その装置でも、マイクロバブルを作ることができず、毎日実験を繰り返し(くりかえし)ました。
結局(けっきょく)、マイクロバブルを発生できるようになるまでに約15年の歳月(さいげつ)が必要(ひつよう)でした」
(つづく)。
マイクロバブルの発生(水道水)(2016年8月10日、筆者撮影)
山口県周南市(しゅうなんし)のT高専(こうせん)にいた時に、地元の中小企業から、ある下水処理(げすいしょり)の開発委員会(かいはついいんかい)への参加依頼(さんかいらい)がありました。
そのときの会議(かいぎ)で、当時(とうじ)、もっともすぐれているといわれていた曝気装置(ばっきそうち、こまかい気泡(きほう)を水の中で発生(はっせい)させるそうち)を用いた実験(じっけん)結果(けっか)が報告(ほうこく)されました。
わたしは、その結果の問題点(もんだいてん)がわかったので、その誤(あやま)りを指摘(してき)しました。
その社長(しゃちょう)さんほかは、それを認(みと)めたくなかったようでしたが、何回(なんかい)、実験を行っても、同じ結果が出てきましたので、最後(さいご)には、わたしの指摘を認めざるをえませんでした。
「その曝気(ばっき)装置に問題(もんだい)があります」
というと、「そうでしたら、先生、あたらしい装置(そうち)を作ってください」、という依頼(いらい)をうけることになりました。
「いいですよ。やりましょう」
と、すぐに引(ひ)き受(う)けましたが、内心(ないしん)は、それができるかどうか、心配(しんぱい)でした。
まず、その一番よいと考えられていた装置の解説(かいせつ)を読(よ)ませていただきました。
すると、どうでしょう。
この装置(そうち)は、世界(せかい)12か国で特許(とっきょ)を取得(しゅとく)していました(特許とは、その技術(ぎじゅつ)を公開(こうかい)するかわりに、その使用権利(しようけんり)が与えられる仕組み(しくみ)のことです)。
しかし、この装置には、もっとも重要(じゅうよう)な部分で、大きな誤(あやま)りがありました。
この装置のなかに、ある突起物(とっきぶつ、「たばこ」を短くしたような形のもの)があり、それに空気の塊(かたまり)をぶっつけることで、より小さな気泡(きほう、ミリバブル)発生させようとしていました。
「この突起に、空気をぶっつけても、小さい気泡はできない。むしろない方がよい」
こういっても、だれも、それを信用(しんよう)してくれませんでした。
「そうであれば、自分で証明(しょうめい)するしかない」
こう思って、実際(じっさい)に、その突起(とっき)を取り去(さ)った実験を行うと、よりち小さな気泡を作りだすことができました。
その結果、新しい気泡発生装置(きほうはっせいそうち)ができあがり、その特許(とっきょ)を取ることができました。
しかし、この装置では、マイクロバブルを発生させることができませんでした。
この装置では、その直径(ちょっけい)が、0.1~0.3㎜(ミリメートル)ていどの気泡(きほう)しか作れなかったのです。
それから、「もっと小さい気泡を作りたい」と思うようになり、毎夜(まいよ)の実験がはじめりました。
しかし、いっこうに、より小さい気泡を作りだすことはできませんでした。
夜から実験をはじめて朝をむかえるという日々(ひび)がつづきました。
それでも、この課題(かだい)の解決(かいけつ)はむずかしく、その後、マイクロバブルを発生できるようになるまで約15年の歳月(さいげつ)を費(つい)やしてしまいました。
この間のマイクロバブルの誕生(たんじょう)の「はなし」は、別の機会(きかい)に述(の)べることにしましょう。
第4質問(しつもん)の回答(かいとう)は、以下のとおりです。
「地元の小さな会社から、下水処理(げすいしょり)にかんする開発(かいはつ)の依頼(いらい)をうけて、ミリバブルを発生させる装置(そうち)の検討(けんとう)を行うことが、きっかけでした。
当時(とうじ)、一番よいといわれていたミリバブル発生装置(はっせいそうち)の大きな誤(あやま)りを見つけ、それを直すことで新しい装置を作ることができ、特許(とっきょ)もとりました。
しかし、その装置でも、マイクロバブルを作ることができず、毎日実験を繰り返し(くりかえし)ました。
結局(けっきょく)、マイクロバブルを発生できるようになるまでに約15年の歳月(さいげつ)が必要(ひつよう)でした」
(つづく)。
マイクロバブルの発生(水道水)(2016年8月10日、筆者撮影)
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