小学生のN君が、作成してきた質問は、全部で12でした。

 まずは、その質問に順次簡単に答えていくことにしましょう。

 小学生が、マイクロバブルのことをどう考えてきたのか、こちらも興味津々で、その応答にはワクワクしていました。

 質問1:マイクロバブルとは、どんなものですか?

 最初から、いささか手ごわい質問でした。「どんなもの?」かといえば、水の中の丸い空気の「かたまり」と答えるしかありません。世間では、これを「あわ」と呼んできました。

 でも、それだけでは、マイクロバブルの「あわ」の説明にはなりません。そこで、「ごく小さいあわ」といい直しましたが、今度は、どのくらい小さいかが問題になりました。

 小学6年生ですから、大きさの単位はミリメートルしか知りません。

 「1mm(ミリメートル)は、わかるよね」

 N君がうなずきました。

 1㎜が解るのであれば、そこから説明をするしかありません。

 「1㎜を半分すると0.5㎜といいます。それを10に分割すると0.1㎜になります。さらに100に分けると、どうなるでしょうか?」

 N君は、目を丸くしていました。

 「非常に小さいということはわかりますね」

 また、N君が少しうなずきました。

 「1㎜を100に分けて、その2つか3つ、それがマイクロバブルの大きさです。今の段階では、非常に小さいあわのことだと思っていたらよいですよ」

 ここでなんとなく一安心、それから、こういうとさらに納得したようでした。

 「犬の毛は、細いでしょう。そのなかでも細い方の毛の太さとマイクロバブルの大きさがほぼ同じですよ」

 犬が好きなN君ですから、これで、マイクロバブルの大きさについては、なんとか少し理解していただけたようでした。

 でも、このマイクロバブルは、普通の「あわ」とは、ずいぶんと違う性質を示します。

 普通の「あわ」というのは、どんなものかわかりますか?

 「お風呂で出てくるあれだよね!」

 横から、お母さんが助け舟をだしました。

 「そう、その『あれ』は大きくなるのだけど、マイクロバブルは、逆に、小さくなっていくという性質を持っています」


 ここで、また、解らなくなってしまいました。

 「たしかに、お風呂の『あれ』は、小さくならない。マイクロバブルは小さくなる?これは、どうしたもんじゃろのう?」


 「マイクロバブルは埋まれた時が一番大きく、その後、時間が経つとともに小さくなっていきます。この小さくなるときに、不思議なすばらしいことが起きます」

 それは、どんなすばらしいことなのでしょうか。

 「マイクロバブルがどんなものか、については、単に小さいあわ(気泡)であるだけでなく、それが、どんなすばらしい特徴を持っているか、そのことにかかわることなんです。

 ですから、それをしっかり勉強して、これから、少しづつ解るようになっていきましょう」

 じつは、この第1問は、マイクロバブルを研究している学者においても、即座に回答することが難しく、じつによい問題でした。

 その答えを私なりに考えましたので、以下に示しておきます。

 「1ミリメートルを100に分けた場合の2つあるいは3つ分の大きさの小さな泡(あわ)のことです。それが発生した後は、ほとんどが小さくなっていきます。

 小さくなることで、これまでの大きな泡とは異なる特別の性質を生み出すようになります。

 すなわち、マイクロバブルとは、特別の性質を持ったごく小さい気泡(きほう)のことなのです」


 (つづく)。

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             チェリーセージの小さな花が可愛らしく咲いていました。