素人菜園の域をどう脱し、マイクロバブル野菜栽培の科学をどう確立していくか、これが非常に重要な課題になっていました。

 
私も、単なるマイクロバブル技術研究者で収まっているわけにはいかず、どのようにして野菜栽培を行うのか、その栽培農家の気持ちになっていくことが求められていました。

 ーーー 今さら、この歳では無理なことではないか?経験も知識もないのだから、それは無謀なことですよ。

 このような思いも湧いてきましたが、私の場合は、ある面で後先を考えずに進んでしまう傾向があり、結果的に、これをどんどん押し進めていくことになりました。


 そして、この段階で大いに失敗を重ねていくのですが、それでも、なかには上手く育つ野菜もあって、そのちょっとした成功が起こったために、それを継続して行うという粘り強さも出てくることになりました。

 初期段階での失敗は、いつものことであり、それらを乗り越えていくことで、最後には小さくない成功に辿りつける、これがマイクロバブルを用いて挑む時のいつもの心構えです。

 やがて、中庭にGFH1と2のハウスが立ち並び、そのなかに、私どもが設計した植物栽培装置が導入されました。

 これで、いよいよ、本格的な栽培研究の舞台が整えられたことになります。

 研究開発用の装置ですから、さまざまなタイプを試しながら、一方で、本格的な量を達成できる工夫もすることになりました。

 そこで、このハウスの設置に伴って、従来の植物工場の問題点を解決するための以下の課題を設定することにしました。

 ①「大規模植物工場でないと成功しない」という「神話」に近い話が横行しており、これを根本的に覆す必要がある。そのためには、小規模であっても高生産性を実現し、採算性を確保できるシステムを開発することが重要である。

 ②露地野菜と従来の植物工場野菜を比較すると約6倍の価格差があり、これを基準にすると、約10倍の生産性を可能にする栽培技術のイノベーションが必要である。

 ③見た目は同じでも、その味において抜群の優位性を確保できるようにする。また、その優位性に関する科学的な立証を可能にする。

 ④従来にない独創性に裏打ちされた「絶品野菜」の新たに創造する。

 これらを実現することは、真に夢のようなことですが、これを農家をはじめとして多くの関係者や国民のみなさんが望まれていることもありますので、私も真正面から取り組ませていただくことにしました。

 もちろん、困難は承知の上で、それらを一歩一歩と前に進めることで、どこかに、その解決の糸口が見いだせるのではないかと思いました。

  しかし、「言うは易し、行いは難し」でもあり、その意味を噛みしめながら商物栽培の経験を積み重ねていきました。

 その経験を踏まえるうちに、マイクロバブルに相性の良い植物や野菜があることも判明してきて、マイクロバブルを使用しても、それで「すべてよし」ということには至らないことも明らかになってきました。

 また、その栽培においては、置かれた環境条件や種、苗の状態が非常に重要であり、これらに関しても小さくない差異や作用効果が微妙に異なってくることもありました(つづく)。
 
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サニーレタス(GFH1、2014年5月31日、筆者撮影)