「PFさん、あなたが理解しているマイクロバブルと、私どもが、この20年試し、実践してきたマイクロバブルとは、ずい分違いますよ。まずは、そのことから説明をさせていただきます」 

 こういうとPFさんは、目を輝かせて興味深そうな顔をなされていました。

 
「私どもは、自ら『超高速旋回式』と呼んでいる方式でマイクロバブルを発生させています。これは、『加圧溶解式』とか『高速せん断式』などと呼ばれている方式の装置との区別をするために用いた名称です」

 「なるほど・・・・」

 「はい、しかし、近頃は、『超高層旋回式』という名称を用いた他の装置も販売されているようですので、この名称だけで判断してはいけません」

 「そうですか」


 「装置づくりに詳しい方、あるいは、技術的にきちんと理解できる方というのは、わずかしかおられませんので、素人の購買者にとっては、装置の方式についてまで詳しく解らない、このような実態が至るところにあるようです」

 「そうでしょうね。それに最近は、気泡のサイズや密度で区別、いわば『標準化』しようとしていることを聞いたことがありますが・・・・」


 「そのようなことが耳に入っておられますか?」

 「私どもの業界にまでは入り込んでいませんが、どこかで聞いたことがあります」

 「じつは、先日も大手企業の方が、やはり、その行く末が心配になったのでしょうか。それに関する私の見解を聞いて安心されて帰られたようでしたが、やはり、画一化できないことを無理やり行ってはいけませんね」

 「それは、どういうことですか?」

 「マイクロバブルというものは、常に時間的に変化していますので、そのサイズや密度を区別しようとしても、それは、とても難しいことなのです。たとえば、マイクロバブルを発生させた直後と、それからかなりの時間が経過した後では、マイクロバブルのサイズや密度はずい分異なります。」

 「ナノバブルとかいうやつは、どうなるのですか?」

 「よい質問ですね。マイクロバブルには、『収縮するマイクロバブル』と、逆に『膨張するマイクロバブル』の2種類があります」

 「その2つは、どう違うのですか?」

 「はい、その違いは、小さくなるか、それとは反対に大きくなるかにあるのですが、問題は、それが、どのように区別されるかにあります。それでは、頭の中に風船を描いてください。大きくなる、すなわち膨張する風船を想像できますか?」

 
「できません!」

 「それでは、海の底に風船があるとしましょう。これを、手放すと風船は水面に向かって上がっていきますよね」 

 「はい、それは想像できます!」

 「それでいいですよ。その時の風船は、上がるにつれて大きくなっていますか?それとも小さくなっていますか?」  

 「それは解ります。大きくなっていると思います」

 「その通りです。上昇するにしたがって、風船に対する水の圧力は小さくなっていきますので、その分、膨らんでいきますよね!」

 「それが解るのでしたら、小さくなっていく方の風船のことも解りますよね?」

 「えっ!・・・・・?」

 「今度は、海の底ではなく、水中のどこかに風船があるとしましょう。そこから、風船が上昇していきますと膨らむ、これはいいですね。今度は逆に、そこからさらに沈められるとどうなるでしょう?それに圧力がより加わって小さくなっていきますが、それは解りますか?」
 

 「解ります」

 「そうすると、どこかで、風船が膨らまない、縮まないところがありそうですね」

 「なるほど・・・」
 

 「じつは、この風船をマイクロバブルに置き換えることができます。そうしますと、どこかで、膨張するマイクロバブルと収縮するマイクロバブルの区別ができそうですね。この膨張もしない、収縮もしないマイクロバブルの直径を、私たちは、『限界気泡径』と呼ぶことにしました」
 

 「げんかいきほうけい、その値はいくらですか?」

 「はい、その値は65μmでした。もちろん、水深が浅い、常温常圧下で調べた値ですから、その条件が異なると、その値も違ってきます」
 

 「初めて聞きました」 

 
「これまでは、なんとなく、その限界値は50μmといわれていたようですが、これを先日のマイクロ・ナノバブル学会においてきちんと指摘しておきました。そしたら、みなさんは、その『なんとなく50μm』の霧のもやもやが晴れたような顔をなされていましたよ!」

 「知らなかったのは、私だけではなかったのですね!」

 こうして、PFさんとの懇談は、ますます深いところに分け入ることになりました(つづく)。
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                      シラン(優しい紫色です)