少人数で、じっくりとマイクロバブル技術を学び、忌憚のない意見交換を行う、これをめざしてきましたが、それが10回を迎えて、ほぼ定着してきたように思われます。
 
 なかには、本ブログを読まれて、セミナーに参加された方もいて、それは私にとってはとても喜ばしいことでした。

 また、今回は、地元の方々が積極的に参加してくださり、これもこれまでにないことであり、喜ばしいことでした。

 これは、毎月1回の研究会が定着して盛り上がり、もっとマイクロバブル技術について知りたいという意欲の現れであり、より積極的な動きではないかと推察させていただきました。

 そして、その地元の方が、さらに積極的な発言があり、マイクロバブル技術を大規模な植物工場に適用したいという申し入れまで出てきて、これにも小さくない関心を抱かせていただいたしだいでした。

 ところで、本セミナーでは、マイクロバブルの基礎知識、マイクロバブルの物理化学的特性に関する2つの講演が行われた後に、「マイクロバブル技術20年の教訓」という演題で私の講演が行われました。

 ご周知のように、本セミナーには、大企業の専門的知識を有する方々から、マイクロバブルのことはほとんど知らない方まで幅広い各階層の方々が参加されます。

 講演を行う側は、そのことを考慮して、まずは解りやすい、もっと厳密にいえば、難しいことを解りやすく解説することが可能な講演を行うことが要求されます。

 そこで、私が無い知恵を絞りだして考えたことは、次の通りでした。

  まず、マイクロバブル技術が生み出した重要な具体的事例を徹底して紹介し、そこに貫かれている共通の本質現象を紹介して、その理解を深めることをめざしました。

 参加者には、それぞれ異なる問題意識や関心事があります。

 それらにできるだけ接近できるように紹介事例を増やしながら、そこに非常に重要な個別の現象の特徴を明らかにする、たとえばカキなら、その優れた事例を紹介し、それをホタテや阿古屋貝にまで広げて、そこに共通の普遍的な特性を示し、理解をしていただくという解説を丁寧に行いました。

 また、植物や野菜の生育について理解を深めたいと思って参加した方々には、ジャンボホテイアオイの生育が起点となり、それがどのように発展し、今の野菜作りに変化していったかを明らかにし、そこでマイクロバブル技術がいかに活躍してきたかを示すことが重要であると思って解説をさせていただきました。

 これを難しい言葉でいえば、これは、帰納的解説から演繹的解説へと進む流れであり、さらに別の表現法でいえば、現象論的解明から本質論的解明に進む流れと説明することもできます。

 いずれにしても、どこかの事例において、目を丸くし、そしてはっと驚くような感動や感激があるはずで、それらを通じて直観的に理解をしていただき、それを胸に刻んでいただくことが重要であると思いました。

 「なるほど、そうか。マイクロバブルはすごい。これは本物だ!」

 このような思いが湧いてくる、これが、その人の心に火を点けることだったのです。

 「心に火を点ける」、これは難しいことですが、それが可能になれば、そこから延々と、その火は燃え続けることができるのです。

 これが、私の前半における記念講演の目標でした(つづく)。

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崖の上の植物たち(豊後高田市田染三宮の景)