前回の記事より、だいぶ日数が過ぎてしまいましたが、マイクロバブルとナノバブルの相互関係に関する考察により分け入ることにしましょう。
この考察を行うために、最新のナノバブルに関する成果を私なりにまとめてみると、上記6点のようになります。
また、上記のナノバブルの6つの特徴に照らして、それと対応するマイクロバブルの特徴を示すと、次のようになります。
その際、私どもは、マイクロバブルが収縮してナノバブルに至るという考えを有していますので、それを親子関係に例えれば、マイクロバブルが親、その子供がナノバブルといえますので、この概念(あるいは「仮説」というってもよい)の下での考察を行うことを予めの前提としておくことにします。
①について
マイクロバブルは(超高速旋回式マイクロバブル発生装置から発生させられたマイクロバブル、「光マイクロバブル」ともいう)、その発生直後から収縮し、マイクロナノバブル、ナノバブルへと変化していくという動的な自己運動を行うことを特徴としています。
その意味で、マイクロバブルは常に変化し、じっと形や数を一定値に留めることはありません。
これに対し、ナノバブルの方は、ほぼ一定のサイズと数を示すことに特徴がありますので、この両者には、まったく異なる物理学的運動形態、あるいは存在様式を有しているといえます。
それは、なぜか?
ここに最初の問題があります。
動的に自己運動するものが、ほぼ静的な存在様式に変化してしまうのであれば、ここには、相当なギャップがありますので、これに介在する「重要な何か」があるのではないかと思います。
それは、何か?
この問題を思案していたら、よいヒントをいただく幸運に巡り合いました。
それは、気泡が「はじける」の意味を探索していたときでした。
「はじける」には、「中が割れて開く」という意味があり、それをインターネット上の辞書で確認していたら、その後に、おもしろい研究成果の情報を見つけました。
米国のハーバード大学の大学院生が、その「気泡がはじける」研究をしていて、その成果がNATUREに掲載されていたようです。
その掲載はたしか2010年であり、その解説文によれば、気泡に何らかの負荷がかかると、丸い気泡がドーナツ状に変形し、その環状の一部から、娘となる(親はドーナツ状の気泡)小さな気泡がいくつも発生する現象が見つかったとのことでした。
親としての気泡から、小さな気泡の娘がたくさん生まれる、このような物理現象が発見されたわけですから、これは、1つのマイクロバブルから多数のナノバブルが生まれる可能性があることを示唆していて、有力な参考になると判断させていただきました。
そこで、この問題に、さらに分け入ると、ここでいう「何らかの負荷」とは何かが、まず問題になります。
おそらく、ここでいう負荷とは、さまざまな物理化学的負荷のことであり、丸い球状の気泡をドーナツのように変形させることが可能な負荷であると考えることができます。
その変形が起こるということは、マイクロバブルが有する強力な表面張力に打ち勝つエネルギーの発揮があるのでしょうから、この辺りの物理化学的メカニズムを探究していくことが真に重要になりそうですね(つづく)。
麦秋(国東市安岐町、2016年5月11日、筆者撮影)
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