昨年12月に開催されたマイクロ・ナノバブル学会の第4回学術総会の内容は、久しぶりの学会参加ということもあって、私なりに、とても刺激的でした。

 そこで、これまでの学会での報告記事を引き継ぎ、それを発展してみようと思うようになりました。

 また、その考察に加えて、ナノバブルについての検討にも分け入ってみようと思いました。

 以下は、その仮説です。

 マイクロバブルは、私どもが開発した超高速旋回式マイクロバブル発生装置においては、その発生頻度のピークの直径は26μmです。

 このサイズを中心にして、そのほとんどすべてが収縮に向かいます。

 それは、発生時のマイクロバブルの内圧が、発生後の液中の圧力よりも小さいために起こります。

 しかも、それは、次の2つの動的挙動を伴って発生します。

 ①短時間で、マイクロバブルは、マイクロナノバブル(直径が10㎛から数百nmの気泡)、ナノバブルへと収縮していきます。この収縮が終了するまでの寿命は、数十秒程度です。

 ②同時に、マイクロバブルは、この収縮過程において約9ヘルツの振動を伴いながら、収縮していきます。


 すなわち、9ヘルツの振動を有しながら、数十秒の寿命時間を有して収縮していく、この動的挙動がマイクロバブルの重要な特徴といえます。

 仮に、発生直後の直径が50μmのやや大きめのマイクロバブルがあるとしましょう。

 このバブルは、その発生直後から約9ヘルツの変動周波数で振動しながら収縮していきます。

 その振動を開始する時のマイクロバブル内の圧力は、マイナス0.06MPa(メガパスカル)程度です。

 この値は、マイクロバブル発生装置内の旋回空洞部の圧力の実測値に基づいています。

 この発生直後の負圧状態から収縮が開始され、徐々に大気圧(常圧状態)に近くなってプラスに転じ、徐々にその圧力は増加していきます。

 この過程においては、収縮速度もそんなに大きいわけではなく、したがって、マイクロバブル内の圧力も徐々にしか増えていきません。

 その意味で、マイクロバブルからマイクロナノバブルへの移行は比較的ゆっくりと進行していきます。


 ところが、その直径が10μm前後になると、すなわち、マイクロナノバブルに至ると、収縮速度が急激に増大し、マイクロナノバブル内での高温高圧化が一気に進行するようになります。

 この高温高圧化によって、マイクロバブル内の気体の溶解効率が高まり、その結果としてマイクロバブル内の気体が溶解しはじめ、その体積減少が、マイクロバブルおよびマイクロナノバブルの収縮に重要な原因となっているといえます。

 その後も、マイクロナノバブルは収縮速度を増加させながら、一気にナノバブルへと変化していきます。

 このマイクロナノバブルからナノバブルへと変化していく過程で、より急激な高温高圧化がなされ、その内部気体はより溶解性を高め、最後には消失してしまうであろう、これが私どもの見解でした。

 また、このナノサイズにおける気泡の可視化限界は、せいぜい1μmです。

 さらに、粒子径アナライザーを用いて、その時間的変化を追跡することによって、おそらく気泡であろう推測しながら計測した気泡径は数百nmから100nmの範囲にあり、これはナノサイズの気泡、すなわち「ナノバブル」でした。

 これらを踏まえて、次の仮説を立てることにしました。

 ①マイクロバブルは、マイクロナノバブル、ナノバブルへと収縮していくが、それは単に収縮して、そのすべてが溶解していくという現象のみであろうか。

 言い換えれば、収縮によるマイクロバブル内の高温高圧化によって、たしかに気体成分の溶解度は高まるが、そのマイクロナノバブルからナノバブルへと変化していく際の急激な収縮速度の増大・高温高圧化現象は、その溶解を進行させるだけでなく、他の特異な物理化学的現象を誘起させている可能性はないか。

 ②この高温高圧化に伴う化学反応の生起は、マイクロバブルの非常に重要な物理化学的特性といえるが、この化学反応が生起しなかった水および気体の存在はありうるのではないか。

 ➂とくにマイクロナノバブルからナノバブルへと急激な収縮現象が生起し、収縮速度の急増・高温高圧化の急進行によって、特異なナノバブル形成の可能性はないか。


 これらの仮説は、真に重要で、かつおもしろい内容を有しており、それぞれに分け入って、より深く検証してみる価値は小さくないように思われます(つづく)。
ebi
                             海老