「私の新東京物語」における友人面談の二人目は、東京で会社を経営されている社長のTさんでした。

 かれは、若い頃はアパレル関係の会社で相当な売り上げを得ることで活躍された方でした。

 それこそ、ビジネスの隅から隅まで知りつくされており、いわばプロフェッショナルといってもよいと方です。

 もう、10年近くなるでしょうか、マイクロバブルについて興味を持たれたことがきっかけで、私のアプローチされてきて、いつのまにか、私が上京するたびに歓談を行う仲になりました。

 また、かれの奥様がご病気を患われたこともあり、「マイクロバブルが、その健康の回復にずいぶんと役立った」ようで、この経験を通じても、かれとより親しく話をするようになりました。

 振り返れば、様々なことがありましたが、ここまで継続してみると、かれは、マイクロバブル技術に関する真の良き理解者であり、正しい評論者の域に達してきていました。

 とくに、私が、マイクロバブル技術における現状の問題点をどう理解しているか、そして、それをどう打開しようとしているか、これらに関心があり、常にそれを問いただしてきたことから、いつのまにか、マイクロバブル技術に関する社会的技術論・評論に優れるようになりました。

 長年の実践に基づく、社会の動きを鋭く洞察し、その論議を共に発展させ続けてきたことが、それを徐々に可能にしてきたのだと思います。

 そのかれとは、いつも東京駅前の丸の内ホテルにある喫茶室で待ち合わせていました。

 しかし、今回は、私の希望で、新宿に来ていただくことにしました。

 かれが選んでくれた場所は、新宿南口前の高島屋の7階にある喫茶店でした。

 この南口から高島屋入口に至るルートがなかなか解らず、ようやくたどり着いて、一緒に7階に向かいました。

 私との面談のために、その奥まった窓際の席が予約されていて、その席に座ると同時に、さっそく話が始まりました。

 「昨日は、マイクロ・ナノバブル学会における私の講演を聞きに来てくださったそうですね。いかがでしたか?」

 「途中から、マイクの位置が下がって来て、それから、マイクが故障したのでしょうか、声が聞きにくかったことを除けば、とても解りやすくておもしろい話でした」

 「そうですか、マイクについては、途中でおかしくなったみたいで、別のマイクにしてからは、よく聞き取れるようになったようですね。久しぶりのことでマイク操作に抜かりがあったようで、大変失礼しました。それにしても、貴方が、まさか聞きにきてくださっているとは思いませんでした。ありがとうございました」

 「先生の話をぜひ聞きたいと思って参加しました。それにしても、かなりの数の参加者でしたね!」

 「主催者側の発表によれば、事前の参加登録者数が250名を超えていたとのことでした。私も数えてみましたが、それぐらいはおられましたね」

 
「久しぶりですよ、先生の話を聞いて、その後かなり技術的に発展してきていることがよく解りました」

 「そうですか。ありがとうございます。『基調講演』というよい機会を得ることができましたので、私なりにはやや力を込めて準備をさせていただきました。この20年を振り返りながら、マイクロバブル技術の基本を示し、そして新たな課題と使命を明らかにする、このような流れで話をさせていただきました」

 このような会話を経て、その面談の前半は、私の講演の具体的内容を中心にして集中的な論議がなされました。

 つづく。
  
kiku1227
                        庭に咲いた菊