「国東お魚便」が成立つ原因は、第1に、魚の競り落とし後の価格が圧倒的に安いことにあります。第2は、魚が新鮮でかつ豊富であること、第3は、大都会では、なかなか手に入れることができない大きさの魚も、手に入れようとすれば可能であること、第4は、東京であれば、チルド輸送の2泊3日が可能であることなどにあります。

 すでに何度か述べてきましたが、安岐港での魚の競りにおいては、その競り落とし価格の1.2~1.3倍、プラス消費税で購入することができます。

 仮に、ある魚を入れたトロ箱の価格が1000円としますと、私たちは、その魚を1280~1380円で購入することができます(この価格ですと真蛸2匹、鯛2枚に相当します)。

 この魚を競り落とした地元のスーパーは、その店頭において、ほぼ2000円の値段を付けて売り出しています。

 この場合、小売りが主ですので、たとえば4つに分けると500円のものが4つに分けられることになります。

 問題は、この1000円で競り落とした価格が安いかどうかにありますので、そのことを踏まえて、その店頭価格を下記のように比較してみました。

 競り落とし価格                          1000円
 競り落としたスーパーの店頭価格              2000円
 近隣都市における同等の魚のスーパーでの店頭価格 3000円
 東京やその周辺都市におけるスーパーの店頭価格   4000円
 

 この価格は、私がいろいろと調査研究した結果です。

 同じ魚でも、国東の競りでは1000円のものが、東京の店頭では4000円もする、そんなに違うのかと疑問を持たれるかもしれませんね。

 それは、あまりにも価格差がありすぎるからです。

 先日、羽田空港の店頭で見かけた大きめのデコポンが1個1500円で売られていたという記事を書きましたが、本日、その地元のスーパーで、立派で大きなデコポンが売られていました。

 その価格は、6つで3000円、すなわち1個で500円でした。

 これを比較すると、約3倍ですから、この格差は、上記よりもさらに価格差が生まれていることになります。

 ところが、東京のみなさんは、いつも東京内とか東京周辺での価格比較しかしていませんので、それが高いとは思わず、「そんなものだ」と普通になり、思いこまされているのだと思います。

 これは、今やほとんど行かなくなったコンビニに行って、その商品がかなり高いと思うようになったことに対し、都会のみなさんが、それをそんなに高いとは思わないようになっている、この違いのようなものではないかと思います。

 この大きな価格差、これが、国東お魚便が成立つ大きな理由なのです。

 すでに6回ほど行ってきたお魚便における競りでの魚の購入平均額は5000円程度です。

 これと同じ魚を東京で購入しようとすれば、その価格は、15400円程度になります。

 これに加えて、チルド輸送代と梱包代が必要で、これが約1500円となります。

 差し引きを計算しますと、この場合は、8900円の得、ということになりますので、これが、6回も続けることができた訳ということになります。

 もうひとつの重要問題は、金曜日の発送で、日曜日の朝に到着するというチルド輸送において、その魚の鮮度を保てるかということでした。

 この問題では、最初に「ユーパック」を利用したのですが、これがよくありませんでした。輸送代が高いうえに、途中で何回も積み替えていたようで、その度に鮮度の保持が心配になるような運送経路を辿っていました。

 また、そのチルド輸送の際の梱包問題では、発泡スチロール箱での輸送を段ボールに切り替え、内部まで冷蔵温度を保てるようにしました。

 そこで、民間の輸送会社に頼み、輸送代及び梱包代で1500円程度で行けるようになり、この方式が定着することになりました。

 そして、そのお魚便が届けられる度に、その鮮度は大丈夫かと心配していましたが、第2回からの5回のすべてにおいて、何も問題ないという報告を受けることになりました。

 こうして、K1さんとその家族、友人のみなさんに大いに喜んでいただきましたが、私どもとしましても、その「安くて豊かな海の幸」を届けることができて、それに「さわやかさ」と「痛快さ」を覚えることができました

 食は、生活の基本ですから、この海の幸に出会えたことは、今後の生活においても、とても重要なことであると思っています(
この稿おわり)。
kawahagi1229
安岐港の市場の競りで購入した立派な生きたカワハギ