第4は、近年、魚が獲れなくなっているという問題があります。

 とくに、この事情は瀬戸内海において顕著になっています。

 その第1は、なんといっても、豊かな海の幸が存在していることです。

 かつて、私は、Y県の公共事業再評価委員会の委員を務めたことがあります。

 ここでは、漁港の改善に関する工事等が良く検討され、その際に漁獲量の経年変化のデータが示されていました。

 これによれば、その地域の漁獲量の低減は顕著であり、その傾向は、瀬戸内海側のみでなく日本海側にも及んでいました。

 その問題の原因は、海の環境の変化とともに、その漁獲法にもあり、とくに、底引き法で魚のほとんどを獲ってしまうことで、小さな魚が育たなくなっていることにあるように思っていました。

 ところが、ここ国東は、南から豊後水道の潮の北上地帯であり、その魚の豊富さ、新鮮さ、美味しさにおいて、この海域の特徴がみごとに発揮されているのではないかと思います。

 この海域で有名なブランドとしては、関サバ、関鯵があります。

 これらの魚は高価ですが、これは特殊な海域で獲れるだけの魚ではありません。

 これらと同じ質の魚が、この豊後水道には遊泳して生息しているのです。

 ですから、国東半島の各魚市場で水揚げされる魚は、みな関サバ、関鯵と親戚関係にある魚ばかりなのです。

 ところがブランド化されていないために、その価格が昔に近い状態で維持されているのです。

 鯛、車海老、真蛸、カレイにヒラメ、これらは、この海域の名産です。

  いずれも、品質的には最上位に近いものばかりですので、そのことは、瀬戸内海や全国各地の魚を賞味してきた経験からも頷けることなのです。

 以上のように、国東お魚便の背景には、上記4つの特徴が存在していました。

 しかし、いざ、それを東京のK1さんと一緒に始めてみると、いくつかの重要な問題に出会うことになりました。

 これらの有利な条件がありながらも、それを生かす知恵と工夫が必要だったのです(
つづく)。
hirame
安岐港の市場で競りに出された立派な生きたヒラメ