「私のマイクロバブル入浴研究」に続いて、「国東の食環境」シリーズも、とうとう100回目の記念を迎えることになりました。

 今調べてみると、その第1回は2014年9月1日の記事でした。

 その折、最初に取り上げた魚が体長70㎝の鰆であり、その値段は1300円であったと記されていました。

 奇しくも、その100回記念で取り上げようと思ったのが同じ鰆であり、その体長は50㎝とやや小ぶりでした。

 それゆえ、値段も安く、このクラスですと500~600円程度だと思います。

 このところ、このサイズの鰆がいつも水揚げされており、購買客に人気の魚の一つになっています。

 まず、家庭で食するにはサイズが適当であり、値段も格安ですので、これをみなさん、1本ずつお気に入りで購入されているようです。

 鰆といえば、どちらかというと夏の魚ですが、ここは南国の豊後水道だからでしょうか、未だに、鰆の水揚げが続いています。

 それとも温暖化の影響を受けて、海洋の水温が上がってきているせいでしょうか、鰆の水揚げの向こうに何があるのか、そのことをついつい考えてみたくなります。

 鰆の食べ方は、まず何といっても購入したその日のうちに刺身で食べるのが一番です。

 鰆特有の柔らかい、そして味のある刺身に毎回心を動かされています。

 そして鰆といえば、我が家を建築してくださった左官屋のYさんが、大きな80㎝級の鰆を、「今釣った!」といって持ってきてくださいます。

 そして彼の口癖が、「切り身を冷凍して、正月にお茶漬けで食べると美味しい」です。

 美味しすぎて、たいがい正月まで待たずに賞味してしまいますが、たしかに鰆のお茶漬けは格別に美味しく、いつも大喜びでいただいています。

 体長80~90㎝級といえば、それを「国東お魚便」で東京のK1さんに送って食べていただいたこともあります。
 
 あるとき、JRの福山駅構内の喫茶店で、共に朝食をいただいているときに、私のブログ記事におけるこのシリーズのことが話題になりました。

 私の記事を読んでいるうちに、本当に食べたくなった、読むだけでは我慢できなくなったというのです。

 そうであれば、上手くいくか、実際にやってみましょうという提案を行い、K1さんも喜ぶことになりました。

 こうなると、「今日は何を手に入れるか」と競りに臨む意気込みが違ってきますので、余計におもしろくなったといいましょうか、そこで、よい魚を見つけ、手に入れるスリルを楽しむようになりました。

 それでも、最初は、無事クール宅急便で魚が傷まずに届くのかどうか、金銭面で多額を要しはしないかなど、いくつも心配なことがありました。

 国東から東京までは、どうしても2泊3日もかかりますので、金曜日の午後に出すと、早くて日曜日の午前中に着くという具合なので、こちらも、毎週土曜日の競り行きを1日早めて行くことになりました。

 輸送手段としては、最初に郵便局のチルド便での輸送を行いました。

 ところが、この輸送ルートが複雑で、肝心のチルド輸送の維持も覚束ない、さらには、輸送費も割高ということが判明し、2回目からは、民間の出入りの業者に切り替えました。

 また、その際、輸送パックとしてまとめ買いしていた発泡スチロールの箱は、断熱特性がよすぎて、チルドによる低温が中まで及ばないことが解り、これも段ボールの箱に切り替えました。

 何事も、実際にやってみなければ解らない、そのことをつくづく感じた「国東お魚便」でした。

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やや小ぶりの鰆

 さて、このお魚便、完全なボランティアとしての行為でしたが、まず、これが成立つかどうか、これを試すことにおもしろさを感じました。

 そして、そのおもしろさを満喫することを成し遂げると、今度は、その巧妙な仕組みが可能であることに痛快さを覚えるようになりました。

 そこには、高度に発達した資本主義国である日本において、その死角を衝くような「痛快さ」があり、あり得ないことが成立つ「ゆかいさ」がありました。

 これは、今は亡き大好きな作家、井上ひさしさんが、この「お魚便の妙」を知れば、膝を叩いて喜んだでしょうし、「私も、そのお魚便に、ぜひ参加したい」といいかねないような「ゆかいな企み」といってもよいでしょう。

 次回は、その企みの「仕組み」をより詳しく解説することにしましょう(つづく)。