マイクロバブルのお風呂に入ると眠くなる、これは、マイクロバブルによる知覚神経刺激が脳内の睡眠中枢神経に作用した結果ではないかと思われることを述べてきました。

 この脳刺激は、その睡眠中枢神経に留まらず、満腹中枢神経に及んでいることも、しだいに明らかになってきました。

 
A7:医学部の専門家から、「マイクロバブルのお風呂に入ると、満腹感を覚えるようになるのではないですか?」と尋ねられたことがあります。その時まで、そんなことを考えたことはありませんでしたので、「そういえば、思い当たるふしがある」という程度の反応でした。

 
Q7:なるほど、医学部の専門家からの指摘でしたか。

 A7:そうです。その時から、この満腹感について自分で調べてみようという気持ちになりました。これが決定的に明らかになったのは、蔵王温泉に入った時でした。ここは、温泉水が白濁していて、酸性温泉としては、秋田の玉川温泉に次ぐ名湯でした。なにせ、ペーハー1.5(pH)の強塩酸のなかに入るのですから、ちょっと構えながらの入浴でした。

 Q7:ピリピリと沁みましたか?なんだか恐そうですが。

 A7:ええ、あまりの刺激に飛びあがりました、というのは冗談で、恐る恐るの入浴でしたが、じつは何も感じませんでした。周囲のみなさんは、私よりも早めに出浴されていましたが、私は、めったに入れない温泉だからと、やや粘って入り続けました。
 
 
Q7:ペーハー1.5の強塩酸のなかに入っても、何も感じなかった?本当ですか?

 
A7:私もふしぎに思って入っていました。それでも、おそらく入浴時間は20分程度だったと思います。何ともなかった、と思いながら風呂から上がりました。

 
Q7:そんなもんだったのですか?

 A7:私も、そう思いましたよ。期待したほどではなかった、風呂場にある大きな鏡の前に立つまでは、そんな気持ちでした。 

 
Q7:その鏡の前で、何かが起きたのですか?

 A7:そのとおりです。私の身体が、すべて真っ赤になっていたのです。これには驚きました。 

 Q7:それは、どういうことですか?


 
A7:この温泉に入って何も感じていないと思っていたのですが、じつは、私の皮膚は大いに刺激を受けていたのです。私の脳が感じるほどに強い刺激ではないが、それは皮膚に対しては強い刺激の作用が働いていたということでした。

 
Q7:なるほど、それは大変な経験ですね。それで、どうなったのですか?

 A7:吃驚仰天とは、このことですよ。それにしても、どうして、自分で、その刺激を知覚できなかったであろうかと思いながら、服を着て朝食会場に向かいました。

 
Q7:ということは、それで終わりですか?

 A7:そうではありませんでした。美味しそうな朝食を前にして、さあ、いただこうとしたのですが、まったく食欲が湧いてきていませんでした。よく見ると、私の前に座った相棒も同じでした。彼の方が速く出浴していたのですが・・・・。

 
Q7:二人とも同じ、食欲がなかった!

 A7:この体験は強烈でした。二人して、同じ現象が現れていましたので、すぐに、「これが満腹中枢が刺激された効果か」と思いました。

 Q7:それで朝飯の方は、どうされたのですか?

 A7:食欲が湧いてこない理由を相棒に説明し、その場で雑談を行っていました。そしたら、それから30分経過した時点で、元に戻って、お腹が空いている感覚が戻ってきましたので、仲良く食べ始めたというわけですよ。

 Q7:なるほど、ふしぎなことですね。しかし、その温泉は酸性温泉でしょう。マイクロバブル風呂とは、どのような関係になるのですか?

 
A7:よい質問ですね。蔵王温泉はpH1.5の強塩酸のお湯、他方、マイクロバブルの方は単なる水道水ですよね。水道水は、そのpHは、たかだた7.0ですので、両者を比較すると、その水素イオン濃度は数百倍も違います。それなのに、どう、両者が関係しているのでしょうか? 

 こう尋ねられて、NさんとTさんには、ますます戸惑いの表情が浮かんできていました(つづく)。

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                      広重東海道五十三次 桑名