さらに、昨日の続きです。

 この放送では、最後に、極微細気泡技術の展望が語られていました。

 その第1は、本技術を世界に先駆けて開発してきた「日本の役割」が論じられていたことです。

 番組では、そのための極微細気泡に関する発生技術、計測技術、適用技術における成果において、わが国が優れた実績を有していることの紹介がなされていました。

 1995年における筆者のマイクロバブル技術の発表以来、この20年間において、本技術は、広く、そして個別事例においてはより深く多様に発展してきています。

 それらの成果と実績を振り返れば、現在は、「生成期の後期」を迎えており、近い将来に到来するであろう「発展期」の「直前にある状態」にまで達しているといえます。

 その意味で、その発展期に突入することを可能とするイノベーション的成果を生み出すことが、今こそ非常に重要になってきています。

 そこで、この重要な時期において、より高次元の配慮が必要であることを、次のように示しておきたいと思います。
 
 番組では、わが国が、音頭をとって世界的な標準化を行おうとしていることが紹介されていました。

 その主な内容は、気泡のサイズと量を9つに分類し、その区分認定を行って「標準化」しようとしていることでした。

 筆者は、この「標準化」を行うことについては、それをなさろうとする方々の問題であり、それ自体は、ある意味で、より進歩に結びつく可能性があると思います。

 その意味で、それを最初から否定的に考えるのではなく、発展的に捉えるべきであると思ってきました。

 しかし、一方で、そのことに対しては、次の疑問を抱いていましたので、ここでは、そのことを率直に述べさせていただきます。

 その第1は、極微細気泡を(サイズ)粒径と発生密度(発生量)で分類することに関して、その本質的理由と意味が、より詳しく、丁寧に説明されるべきであることです。

 この標準化を進める母体として、民間企業を主とする「協会」も結成されているようですので、それらの企業の方々が最も知りたくて、受容したいと思っている情報は、いかに、本技術を現場に適用し、十分な成果を得るかに関することだと思われます。

 それゆえに、その分類による標準化が、それにどう役立つかを、より詳しく、そしてより説得力ある水準においてより理解を深めたいという希望を持たれているのではないかと推察しています。

 第2は、そのサイズと発生密度に関する尺度で十分に説明できるのか、という問題です。

 すでに述べてきたように、本極微細気泡が適用されている分野は広大で多数です。

 その広大な裾野においては、個々にたくさんの適用がなされ、それぞれに、重要な成果と後に役立つ失敗が生まれています。

 これらを分析すると、そこには、極微細気泡のサイズと発生量(密度)のみが基準になって、その適用の可否が決まってしまうことではない事例が、いくつも存在しています。

 むしろ、現場での成功の可否は、その目的に則しての具体的な「物理化学的特性」と、それによって生起される「機能性」の発揮が、共に、いかになされるかにあります。

 上記の極微細気泡のサイズと発生量は、その物理化学的特性の一部における要素でしかなく、そのことがよく理解される必要があるように思われます。

 おそらく、この問題は、その物理化学的特性と機能性に関する究明が進展すればするほど、より鮮明になっていくのではないかと思います(つづく)。
akaihana1006
               一部が枯れてもなお赤く咲こうとするゼラニウム

 おわび:私の操作ミスで、昨日の記事(「一作日の「クローズアップ現代」を視聴して(2)」を消してしまいました。申し訳ありません。この記事の文章は、私の記憶のなかにしかなく、再度、気を取り直して、再執筆させていただきますので、ご高配のほどをよろしくお願いいたします。