今回で、このシリーズも23回目、「思えば遠くへ来たもんだ」という歌があります。

これに因めば、「思えば長く続いたもんだ」となります。


さて、前回までは、一度、食べたら、すぐ後に、また食べたくなる饅頭の話でした。

今度は、一度口に注いで飲んだら、すぐに、また飲みたくなる日本酒、これは、どのような酒なのでしょうか?

これから、そのお酒の話に分け入っていくことにしましょう。

まずは、その飲んだ後に、すぐ飲みたくなる酒の性質について考えることにしましょう。

この味のことを「キレ」といいます。酒の通は、この味を造ることが一番難しいので、このキレがあるかどうかを、まず問題にします。

「キレ」とは、口の中に酒の味が残らない、すなわち、浸透性のよい酒の性質のことをいいます。

よい酒は、酒を口の中に含むと、それがすっと消えてしまいます。

これに対し、よくない酒は、ねっとりと、その酒の味が残りますので、再び酒を飲もうという気持ちが起こらなくなります。

この「キレ」を含めて、酒の評価を行う際には、次の要素があります。

「酸味」

「コク」

「まろやか」

わが国には、たくさんの酒造所がありますので、そこでの杜氏を中心にして、この4つの要素に関して日夜研究がなされてきました。

また、わが国では、酒のコンテストも毎年よく行われていて、その審査においても、これらの指標が用いられています。

酒のお好きな方は、これらのコンテストで受賞された酒に注目することから、酒造所の方も、このコンテストに出品して受賞することが、重要な営業目標になっています。

経験と技の競い合い、それが酒をめぐる業界の常識となっています。

これから、苦労の中から栄冠を、どう勝ち取っていったのか(その「ゴールドクラウン」の話を思い出しながら)を明らかにしていきたいと思います(つづく)。
広重吉田 豊川橋
                  広重東海道五十三次 吉田 豊川橋