せっかくのハッチさんの言及ですから、「地域再生にはアイデアが必要である」(1)の続きを考察することにしましょう。
ハッチさんの指摘にもあるように、次の3つの課題を具体的に解決していくことが重要です。①新しい産業を発掘して、その上で新たな産業を考える。
②弱体化している地方には勝ち目がない。
③世界的視野から新たな産業を考える。その産業とは何か?
これらの課題において、次の2つの疑問を投げかけました。
①そのような産業は、いったい存在するのでしょうか?②具体的に、それを見出し、育てることはできるのでしょうか?
また、この解決のための糸口として、2つのアプローチの方法を提示しました。
1)新たな先端科学の究明によって新たな先端産業を創成する。
2)地方に現存するものに新たな光をあてて、再生を行うことができるものを見出す。
ここまでは、先日の記事の通りです。
先日、経済に関する雑誌を読んでいたら、「産業再生」に関して気鋭の経済学者4人による討論が目に留まりました。
このなかで、おやっと思ったことがありました。
それは、産業再生のためには、1)が必要であるという強調がなされていたことでした。
ーーー 今日の先端産業の行き詰まりを迎えていても、今尚1)を頼りにしているのか?
つい最近まで、日本経済を牽引してきたのは「自動車」でした。
これが大規模に海外移転を行うことで、日本国内には、それに代わるエンジンがなくなってしまったのです。
おそらく、自動車のような牽引エンジンは、しばらく日本社会に登場してくることはないでしょう。
となると、残りは2)にしかなく、これで行くしかありません。
しかし、日本社会の現状は、「地方創生」といいながらも、その実態は1)に比重を置いたものになっています。
この現状を変革し、2)の道を切り拓く、これがどうしても必要になります。
しかし、地方におけるこの本格的な変革、これが容易ではありません。
農業、漁業などの第1次産業が衰退の一途をたどり、後継者も得られないほどに深刻な状況を迎えています。
加えて、この難問を解決していくためのスタッフも少なく、これでは、地方は中央に対して勝ち目がなくなってしまいます。
それでは、いったい、どうすればよいのでしょうか?
再びこの疑問、あるいは難問に戻ってしまいますが、私は、その解決のために、自分の足元を掘り、そこに泉を発見することではないかと思います。
ここでいう足元とは、地域のことであり、そこを掘ることとは、地域資源を見出し、その活用を考えることをいいます。
そして、その泉は、喉を潤し、命を救う水のある場所のことです。
ここで、最も重要なことは、この泉を掘り当てる技術のことです。
消費者の渇きを潤し、命を救う水を掘り出す技術を生み出す技術を創成できるか、これが要になります。
これまで、たくさんの学者とお金を用いて、現代の第1次産業を再生させる技術開発が試みられてきましたが、それに成功した事例はありません。
その意味で、それらの技術は未熟な段階に留まり、そのブレイクスルーが実現されていないのです。
ですから、この問題を本質的に解決する、具体的には、農業や漁業を再生、そして豊かに発展させうる確かな技術を研究開発し、創生させることが何よりも求められています。
すなわち、不利な条件を有利に十二分に変える優れたブレイクスルーの科学の目が必要になります。
これはどうやって養うことができるのでしょうか?
大志を抱いている若い研究者にとっても、これが最も知りたいことではないかと思われます。
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