ここで、マイクロバブルを「新物質」と、ことさら強調する意味は、その優れた物理化学的特性に裏打ちされた機能性にあります。

その結論を先に示すとすれば、その最大の機能性とは、生物活性を誘起させることにあります。

ここから、辿っていけば、その生物活性物質をマイクロバブルが生み出し、それが動物、植物、微生物に適用可能なことにあります。

ここに、マイクロバブル技術の最大の特徴があるということができます。

以上を踏まえますと、マイクロバブルを新物質と意味をよく理解していただけるのではないかと思います。

そこで、今回から、マイクロバブル技術の第2の特徴について考察を行うことにします。

この特徴は、それを適用する分野が真に広大であることにあります。

そのために、その基盤を形成する際に、垂直方向よりも水平方向に広く拡大していく傾向を示しています(注(1))。

これは、当然のことながら、新たな技術として生成期にあることを示す特徴ともいうことができるでしょう。

20世紀後半から開発されてきた技術の場合、このように広範囲の分野で、水平拡散を行う技術は珍しく、ある意味では初めての事例かもしれませんが、垂直方向に長く、その土台を形成するよりも、その水平方向の拡散と発展がより優れていたために生起した現象と考えられます。

また、この垂直方向の発展と拡散が、あまり顕著になされなかった理由は、その科学的解明のスピードが追い付いて行かなかったことが関係しているようにも思われます。

注(1)水平方向の拡散とは、マイクロバブル技術の分野が次々に広がっていくことを示すことを意味しています。しかも、この拡散は、1)医療・健康、2)食糧・バイオ、3)環境・エネルギーという国民生活と基幹産業という分野でなされていることにも重要な特徴があります。

これに対して、垂直方向の拡散とは、ひとつの技術が質的に発展して、より上位の技術として発展していくことを示しています。たとえば、自動車が、ガソリンから電気自動車へと発展していくような事例を意味しています。

マイクロバブルの場合、まるで富士山の裾野のように広大な分野への適用が多くの方々によってなされており、それらのいくつかの分野において、ようやく、この頃になって、そこに高い峰が形成される可能性がでてきているのではないかと思います。

その意味で、マイクロバブル技術は、その20年を経て、ようやく、次の成長期を本格的に準備する生成期後期の段階を迎えているように思われます
(つづく)。

                     北斎富獄三十六景 上総ノ海路