超音波によって形成される気泡の世界とマイクロバブルでは大きな差異がいくつもあり、それをそのままマイクロバブルの世界に持ってこれないことが、よくお解りになったでしょうか。

当然のことながら、マイクロバブルにはマイクロバブル独自の世界があり、それが十分に明らかになっていないために、そのような別世界のものが、いたずらに持ち込まれてしまうのです。

技術の「生成期」には、このようなことが起こりがちになりますので、注意が必要と思われます。

また、この注意の必要性は、単にそれだけに留まるだけでなく、マイクロバブルには独自の世界があるということを示唆しています。

その独自のマイクロバブル固有の世界を明らかにしていくことが最も重要なことであり、それを大いに研究していくことが求められていますので、それに期待することにしましょう。

次に、新しい問題に分け入ることにしましょう。

それは、マイクロバブルの負電位現象に関することです。

周知のように、大半の気泡はマイナス、すなわち負の電位を有しています。

泡といえば、ビールの泡を思い浮かべる方が少なくないでしょう。

この泡には、ビールのエキスとアルコール成分が多く存在していますので、液体の部分よりも、この泡の部分を飲み込む方が酔酔いやすいことを、ご存知でしょうか。

これは、気泡が負電位を有しているために、その逆の成分、すなわちプラスの成分を集めやすいという性質によるものです。

マイクロバブルの負電位特性に関する特徴は、その気泡径が40㎛を過ぎたあたりから急激に増加しはじめること、そして、その負電位のピーク値が数十ミリボルト程度で維持され、それが、直径10μm前後まで継続されることにあります。

マイクロバブルの収縮に伴い、なぜ、負電位を増加させるのか、そして、そのピーク値を、なぜ持続させるのか、それらの解明が非常に重要であると思っています。

また、それらの解明によって、マイクロバブルの収縮現象と負電位特性の関係が明らかになっていくのではないかと思っています。

さて、この負電位現象は、食品の洗浄問題において、非常に効果を発揮しやすい現象といえます。

食物に付着した汚れは、砂や金属などの無機物とともに、生物の断片や油など有機物がありますが、後者にはプラスに帯電しているものが多く、これにマイクロバブルが付着し、剥離させやすくするのです。

この有機物にはさまざまな種類と大きさがあります。ここでは、その後者について述べますが、その有機物のサイズが小さいほど、正電位が高く、強固に付着する作用を有しています。

すなわち、小さな汚れほど、それを洗浄することが難しい、これが洗浄業界の常識になっています。

たとえば、おしぼりを例にしますと、それに付いた目につく大きな汚れは、なんとか洗浄を繰り返すことによって落とすことができますが、そのおしぼりの色をより白くすることは、その繰り返しではなかなか実現することができません。

それは、小さな無数の汚れが、その色の白さ具合に関係しているからであり、この付着を剥がしてきれいに洗浄することは、なかなか容易なことではありません。

食品には、この種の汚れが無数といってよいほど付着しています。

これを、食品を傷つけない、あるいは変質させないで、上手く取り去ることは、非常に重要なことなのです。

なぜなら、その洗浄が可能になるかどうかで、驚くほどに、その食品の品質や味が大きく変化することが起こるからです
(つづく)。
ほくさい-0210


葛飾北斎 富獄三十六景