昨年12月初めあたりから、各種の原稿書きが増えてきて、それが3か月目に入ってきました。

そろそろ、その思考作業に慣れてきたようで、「原稿書きのブレイクスルー」のパターンについて、少し考えてみたいと思います。

この作業に入ると、すぐに理解することは、そこで新しい考えや提案をまとめ、文書化することが、なかなか簡単ではないということです。

頭の中では、理解しているつもりでも、それを論理的な文書に仕上げていくには、いくつかの試行錯誤が必要で、それを経ないと、その域には達しないということです。

文筆の達人であれば、思い描いたことが、そのまま文書になっていくのでしょうが、私の場合は、その域まで当然のことながら達していませんので、「書いては消し」を繰り返していくことを余儀なくされています。

最近読んだ本のなかに、文芸別冊「井上ひさし」がありました。このなかには、彼の直筆の原稿の写真が示されていました。

じつにきれいで、わずかな修正で原稿が仕上がっています。その特徴は、修正した文字を黒く書きつぶして、修正前の文字が見えないようになっていました。

おそらく、これも、それが見えていると修正した気持ちになれないという、作家の癖みたいなものなんでしょうね。

そして、この本の裏表紙の裏に、彼が机について書き物をしている写真が掲載されていました。

机の左に電話機があり、右手奥には、書物やファイルが立てかけられていました。

ーーー そうか、このようにして書いていたのか!

しげしげと、その写真を眺めていて、あるものに気付きました。

それは、左手から伸びていた照明でした。いわゆる、電気スタンドです。

折しも、私の安物の電気スタンドが、どういうわけか、電燈がつかなくなって困っていましたので、これを見て、「そうか、新しく買うのもよいな」と思いました。

そこで、Amazonで、「電気スタンド」なるものを検索してみると、これが多すぎて、どれを買ったらよいのかが解らなくなりました。

そしたら、その井上ひさしさんの机の写真のことが頭に浮かんできました。

ーーー そういえば、あそこに電気スタンドがあったなぁー

よく見ると、それと同じ電気スタンドがAmazonにもあり、結局、それと同じ電気スタンドを注文することにしました。

商品名は「Zライト」と呼ばれていて、古くからあるスタンドでした。

ーーー これで、電気スタンドは同じになった。

これにあやかって、文書の腕も上達すればと思ってみたものの、そんなことになるはずもなく、煌々と光を放っているのは、このZライトのみでした。

前置きがやや長くなってしまいましたが、本題に戻ることにしましょう。

前記事においては、次の3つの課題が示されていました。

 ①生産性を十分に向上させる。
 
 ②味を格段によくする。

 ③価格において露地野菜と十分に競争できるようにする。

本日は、この①について検討することにしましょう。

まず、「植物工場」といいますと、都会のビルの地下で、LEDの光を24時間あてて、各種のレタスを育てている様子を思い浮かべられることでしょう。

どこかの大学でも、これと同じ風景の栽培の様子がテレビで放送されていました。

これらを見て、野菜が、元気に、よく育っていると思われがちですが、それが果たしてそうなのか、これについてはよく考えてみる必要があると思います。

そして、この栽培法が、上記①の課題と、どう結びつくのか、ここに分け入ることにしましょう。

A)LEDで24時間、光をあて続けて成長させる、そうすると生産量が増える?

この課題は、どうでしょうか?

よくいわれるのに、苗の状態から出荷サイズになるまでに要する日数は約20日というものがあります。

これを1年365日で回転させるとすると、約18回の出荷数になりますので、この通りですと、その生産量は18倍になります。

露地野菜栽培と比較しますと、年2回の作付を行うとすれば、それは、約9倍の生産力を有することになります。

植物工場において、露地野菜と比較して約9倍の生産量アップが可能か、ここがまず問題になります。

周知のように、植物が育つには、栄養と光が必要です。前者は、人工的に供給できますが、後者については、自然光(太陽)か人工光かの問題があります。

よく指摘されているように、この人工光は、太陽光と比較して非常に弱いという問題があります。

おまけに、太陽光については経費がかかりませんが、人工光の場合は、その設備費と運転費が必要になります。

通常の設備投資の場合、それだけ経費がかかるのであれば、それは、経費のかからないものに対して数倍以上の効果をもたらすものでないと採算は取れないはずです。

すなわち、人工光が太陽光よりも数倍の明るさを持てるのであれば、その投資は成り立つはずですが、実際には、その逆になっている、ここに最初の問題があります。

太陽光 ➡ かなり明るい    経費はなし
人工光 ➡ 相当明るくない   経費は必要

この太陽光の明るさは65000ルクスだといわれています。

これに対し、植物工場で一番経費が安いといわれている蛍光灯が用いられた場合の明るさは約5000ルクスです。

これで比較しますと、太陽光は、蛍光灯の約10倍の明るさを持っています。

当然のことながら、蛍光灯を植物工場の照明に用いるならば、その10倍の光の強さを持たないと、太陽光には敵わないということになります。

しかも、その蛍光灯を灯すには、その設備と電気代が必要になりますので、それをどうやって補うのか、ここに、植物工場に関する最初の問題が出てきます。

となると、これを補うのは、植物の工場野菜の生産量を増やすことしかありません。

これを増やすには、成長を速くする必要があります。ところが、20日で出荷できるようにして生産量を9倍にしようとすると、光の量が10倍足りないということになり、堂々巡りをしてしまいます。

ここには、ブレイクスルーすべき「壁」が存在しています。この壁を突破できなければ、光量が少なくても栽培が可能な野菜しか育てられないというジレンマに陥ってしまいます。

これをどのように解決していけばよいのでしょうか。

露地栽培と比較して約10倍の生産量を確保しながら、この光不足を補うことができるよい方法はあるのでしょうか?(つづく)。
戸塚 元町別通
                  広重東海道五十三次 戸塚 元町別通