ようやく、先月27日に全国放送されたNHK「おはよう日本」のニュースを拝見することができました。

放送当日は、うっかりしていて、7時台のニュースしか録画しておらず、それが、イスラム国関連のニュースが入ったのでしょうか、そのなかの番組では放送されていませんでした。

そこで、したらまちゃんのお父さんが録画をしていたので、そのDVDを山梨から送付していただいたというわけでした。

映像の力というものは真にすばらしいものです。

最初に空から、そして斜めから、真正面からと、巨大な登り窯が写し出されていました。

みごとな大きさで、威厳のある窯でした。

それから、内部にずらりと並べられた作品群もくっきりと見ることができました。

先日、まだ、窯口から約30mの間は何もなかったときに見た所狭しと置かれた、あの姿でした。

その主宰者はX先生(放送では、当然のことながら実名で登場ですが、ここではX先生のままにしておきます)、今年78歳になられる方です。

それから、その焼き物名は「備前焼」です。

本ブログでは、このNHK全国放送がなされてから、その焼き物名も明らかにすることにしていました。

約30年をかけて築いてきた巨大な大窯の全長は85m、これに文字通り命を懸けてきたX先生の集大成、その本願は、約500年前の「古備前の復活」を成し遂げることにありました。

500年前とは、その歴史を振り返りますと、戦国時代から安土桃山時代に相当します。このときに盛んに造られていた焼き物のひとつが「古備前」でした。

「どんなことがあっても、この本願を叶えたい、それが今年の願いです」

これは、その500年を貫く思いでもありました。

明治以降の備前焼では、窯作りが小型化し、最近では10m程度の窯で焼かれるのがほとんどのようです。

しかも、その焼成温度は1300℃だそうで、比較的高温の状態で焼かれています。

この窯焼きでは「心が動くような作品ができない。みな同じで、意外性のある作品が生まれてこない」、これが、巨大窯づくりを決心された先生の動機でした。

心が動かされる、意外性のある作品、これはいったいどのようなものなのか、これまでの記事においても、それを明らかにしたいと思ってきたことでした。

これを実際の焼き物の姿にして明確にし、「だれかが、その明治以降の手法を打破しないと、ピリオドを打たないと、今後の焼き物の未来はない」、先生は、こう主張されていました。

ここには、相当の決意が込められています。

①明治以降の備前焼の手法を打破する。

②そして、現在の備前焼の手法にピリオド(終止符)を打つ。


この革命的出来事を、この巨大窯でなし遂げると宣言したのでした。

そのために4000トンの赤松を集め(10トントラック400台分)、1200点以上の作品をこしらえ、そこに封じ込めたのです。

いかに凄まじい話か、読者のみなさまにおかれましても、お解りのことと思います。

それでは、どうやって、その巨大窯で、古備前の復活を成し遂げるのか、ここが最大のポイントになります。

その必要条件は、次の2つでした。

85mの巨大窯であること

②従来の小さい窯での焼成温度である1300℃を変えて、1000℃程度の低温でゆっくり焼くこと

これらによって、「理想的な焼き物を作ることが最終目標です」、こうX先生は言い切りました。

この「85mの巨大窯」、「1000℃程度の低温焼き」、「理想的な焼き物」、この3つがキーワードですが、これを聞いただけでは、すぐに、その深い意味を理解することはできないと思います。

偉大な作家の言葉ですから、そこには、「重要な何か」を意味することがあるはずです。

次回の記事では、ここに深く分け入ってみることにしましょう(つづく)。
北斎鳥

葛飾北斎 八方睨大鳳凰図(87歳の作品といわれています)