超音波の世界とマイクロバブルを比較してみましょう。

なぜかというと、この超音波においては、発生した気泡の高温高圧場が形成され、それが光るということがすでに明らかにされていますので、これとの対比や類推が可能であるからです。

ご周知のように、超音波は20キロヘルツ前後の振動現象です。それ以上のメガヘルツの振動数を有する装置もあります。

これを解りやすく説明すると、毎秒2万回前後の振動が起こる現象といえます。すなわち、2万分の1秒で、細かく揺れる現象なのです。

この振動によって、小さな泡が大きく引き伸ばされ、そして縮む際に光を発生するとされています。

この時発生する気泡の温度が数千度で、数千気圧になるといわれています。

これが、2万分の1秒の間隔で繰り返され、気泡が引き伸ばされは潰されるというというわけです。

ところが、マイクロバブルの場合はどうでしょうか。

マイクロバブルが生まれてから収縮を開始し、最後に消滅してなくなるまでに数十秒もかかります。

また、直径が100分の2㎜のマイクロバブルがなくなるまでを数えても数秒から10数秒かかります。

ですから、百歩譲って、超音波とは似ている現象であるとしても、それを同一の現象と考えるには、相当な無理があるといわざるをえません。

ところが、そこに、どのような違いがあるかを科学的にきちんと調べるのではなく、その超音波の概念をそのまま適用し、マイクロバブルにおいても、同様のことが起こるといいたくなるようです。

しかし、マイクロバブルの世界は、一見、その超音波の世界と似ているように思われがちですが、その本質は明らかに違っています。

数千度、数千気圧の世界は、起こらないし、起こらなくてもよいのです。

マイクロバブルが有する固有の世界をきちんと説明できることの方が大切なことなのです。

しかし、そのことができないために、安易に似て非なるものを持ち出し、無理をして説明を加えようとしているとしか見えない、これが正直な感想です。

たとえば、気泡の内外圧力差が表面張力に比例するということを説明する「ラプラスの式」というものがあります。


これを持ち出し、気泡が小さくなっていくと、その表面張力(界面張力も同じ)が増大し、その分だけ圧力差が増すということになります。

気泡が、ミリバブル、マイクロバブル、そしてナノバブルになっていけば、それだけ、表面張力が大きくなり、内部の圧力が急増していくという考えです。

これにしたがいますと、ナノバブルになると、その温度が数千度を超え、1万度にも達すると計算できますので、それが持ち出されてくるのです。

この1万度は、太陽と同じ温度ですから、これにしたがえば、ナノサイズの太陽が大量に生まれることになります。

原発がメルトダウンしたときに発生する温度が2800℃程度ですから、これは原発の比ではありません。

世の中には、それを面白がる方はいても、信じる方がいるのでしょうか?

まず、この場合の実体は気泡ですから、その温度になる前に、すぐに液体中で溶けてしまいます。

溶けてしまえば、表面張力は発生しなくなりますので、上述のラプラスの式は成り立たなくなります。

次に、それだけの温度を発生させるのですから、その液体は、すぐに沸騰してしまうのではないかという疑問が湧いてきます。

なにせ、超音波とはちがって、発生する気泡は大量ですから、すぐに、ぐらぐら沸き立つお湯ができそうですが、そのことはどうでしょうか。

それから、生物の方は大丈夫でしょうか。

OHラジカルの大量発生で、生物が傷み、斃死してしまうことはないでしょうか。

OHラジカルが大量発生するのであれば、活性酸素も大量発生する可能性があり、これを殺菌として利用できても、多くの生物のDNAが、これによって傷つけられることでしょう。

そうなると、「私は、マイクロバブルのお風呂には入れない」という結論になってしまいます。

それでは、たちまち困ってしまいます。もはや、マイクロバブルなしでは生きていけないからです。

そこで、マイクロバブル入浴論者としての私は、次の仮説を打ち立てることにしました。

「このナノバブル太陽論者は、きっと、マイクロバブルのお風呂に入ったことがないのではないか。そのことをしっかり調査研究し、証明していかねばならない」
(つづく)。


北斎36景山下白雨
葛飾北斎 富獄三十六景 山下白雨