前回の記事において、マイクロバブルが、収縮して、液体中に、その気体成分が溶解し、消失してしまうことに重要な特徴があることを示しました。

さて、ここで、簡単な実験を紹介しておきましょう。

市販の風船を用意し、それを膨らませてみましょう。あまり大きくしないで、少し余裕のある状態にしておくのがよいと思います。

その風船を両手で押して収縮させてみてください。

実際に、やってみると、それがなかなか簡単ではないことに気付くはずです。

どこかを押せば、その反動で必ず盛り上がるところができて、全体を一様に縮めることができないからです。

ところが、マイクロバブルでは、この収縮が自然に起こるのです。

マイクロバブルと風船の違いは、どこにあるのでしょうか。

より正確にいうと、どちらの圧力が高いのでしょうか。これが高いほど、より簡単には押し縮めることはできません。

発生直後のマイクロバブル内は負圧状態であると思われますので、これは容易に、周囲の正圧に押されて縮むことができます。

しかし、すぐに、マイクロバブルの内と外での圧力は等しくなるなろうとしますから、その時点で圧力差はなくなってしまいます。

それでも、最初の収縮の反動があり、その次には膨張し、これを繰り返しますので、徐々にマイクロバブルは収縮し、しだいに内部の圧力を高めていきます。

これがしばらく続くと、マイクロバブル内の圧力は高くなり、この状態で、マイクロバブルを均等に収縮させようとすると、大変な力が必要になります。

すなわち、風船よりもはるかに強い力でないとマイクロバブルを収縮させることはできないのです。


このより高圧力の出現によって、マイクロバブル内の気体は、ますます溶けやすくなります。

そして、この界面における気体の成分の溶解によって、さらにマイクロバブルの収縮が発展します。

みなさんは、高校の化学で、ボイル・シャルルの法則を勉強されたことがあるでしょう。

この法則にしたがいますと、体積と圧力は相反する現象として示されています。すなわち、体積が減少していくと圧力が増大していくのです。

おそらく、マイクロバブルの内部においても、この法則の適用が可能ではないかと思われます。

そうすると、マイクロバブルの収縮に伴って、マイクロバブル内の圧力は増大していきます。

問題は、そのマイクロバブル内での高温高圧化が、どこまで達成されるのかにあります。

しかも、この高温高圧化は、よく知られているエネルギー保存則とは逆の減少であることにも注目しておくことも大切なことです。

たとえば、お風呂を沸かしますと、ガスや電気のエネルギーを消費しますが、そのお湯は、ガスや電気を用いたエネルギーの総量を上回ることができません。

これは、エネルギー保存則に従った現象であり、言い換えれば「エントロピー増大」現象とも表現されています。

ところが、マイクロバブルの中では、エネルギーが集中されて、その「エントロピー減少」現象が起きているのです。

この現象の解明とともに、マイクロバブル内の高温高圧場における物理化学的特性を科学的に明らかにすることが、マイクロバブル研究における重要な課題のひとつとなっています。

次回においては、この高温高圧場に関する従来の諸説について、やや詳しい解説を行うことにしましょう
(つづく)。