前回の記事をまとめます。

それは、「マイクロバブルが収縮するか、それとも、膨張するかで、その基本的性質に決定的な違いがある」ことでした。

前者では、マイクロバブル固有の新しい性質が生まれます。ところが、後者においては、ミリサイズの気泡と同じ空気としての性質をしめすことにほとんど留まってしまいます。

ですから、この違いは大きく、本質的なものということができます。

ところが、この区別が明確になされないまま、同じマイクロサイズであれば、性質が同じという流布がかなり至る所でなされています。

ここに、マイクロバブル技術の「生成期前期」における重要な特徴があります。

そろそろ、この過誤から脱皮して、マイクロバブルの本性をよく理解する必要があります。

そこで、前者の収縮運動について、その本質により詳しく分け入って解説を行うことにしましょう。

まず、「なぜ、マイクロバブルは収縮するのか」の問題から説明しておくのがよいでしょう。

これは、「超高速旋回式」という私が開発したマイクロバブル発生装置の性質に強く依存して起こる現象です。

そのことを最初に断っておきますが、他の装置では、ほとんど、それが起こらないか、あるいは起こったとしてもほんのわずかであることに注意する必要があります。

そのことを踏まえ、マイクロバブルを発生させる条件として以下を設定します。

①マイクロバブル発生装置(超高速旋回式、㈱ナノプラネット研究所製M型シリーズ)

②液体:水、容量10リットル程度

③気体:空気(組成は、窒素80%、酸素20%)


①のマイクロバブル発生装置を正常に稼働させるには、次のポンプ条件が必要です。

④ポンプ圧力:0.2MPa(メガパスカル)以上

⑤ポンプ流量:毎分20リットル以上(マイクロバブル発生装置の型式で異なります)


これらによって、マイクロバブルを毎分1リットル発生させることができます。

本日のテーマは、なぜ収縮が起こるのか?、そのことについて考えてみましょう。

前回の記事において、マイクロバブル発生装置内においては、水と空気が、秒速500回転で旋回することを述べました。

この回転によって、水には遠心力が働き、逆に空気には向心力が働きます。この両作用によって、水は外側に、空気は内側に集められ、その装置の中心軸上に竜巻状の空洞部が発生するのです。

この旋回空洞部を出口前後の速度差によって切断・粉砕することによってマイクロバブルが発生します。これが、マイクロバブルの発生原理の基本です。

このとき、この旋回空洞部の圧力を計ってみると、その値はマイナス0.06MPa(メガパスカル)でした(水頭でいえばマイナス6m)。

このマイナスの圧力を有した空洞部が切断・粉砕されることによって、マイクロバブルが形成されますので、マイクロバブルの中の圧力は、当然のことながらマイナス状態にあると容易に推測可能です。

そして、マイクロバブルを発生させるところは、通常常温常圧下ですから、そのマイクロバブルの周囲の液体はプラスの圧力を有しています。

マイクロバブル内はマイナス、その周囲はプラスですから、これも当然のことながら、マイクロバブルは急速に収縮しようとします。

これが、最初の収縮の始りです。

膨らませた風船を想起してください。丁度、風船を急に手で押さえた状態になります。

この収縮が急に起こりますので、今度は、その反動が起きます。

そうすると、今度は風船が元に戻ろうとします。

これらの挙動を繰り返しながら、風船、すなわちマイクロバブルは徐々に小さくなっていきます。

その理由は、マイクロバブル内の気体が急速に溶けていくことにあります。

こうして、最後には、マイクロバブル内の気体が溶けて、すべて無くなってしまうのです(つづく)。