1月4日の火入れ式に参加されたK1さんから、当日の様子を知らせるメイルをいただきました。

ここには100人以上が集まり、メディアも10数社が集まり、テレビでは壮絶な位置取りがあったようで、小さくない取材が繰り広げられたそうです。

いよいよ、X先生の大窯に火が入り、龍が生まれる瞬間がやってきたのでした。

苦節26年、粘って粘って、粘り抜いて、すべてを捧げて用意してきた26年ですから、さぞかし、小さくない感慨を覚えた火入れ式だったのではないでしょうか。

さて、これからの窯炊きは、次の段取りで進むようです。

第1段階:火入れ後、窯全体を煙でいぶして、内部壁面を乾燥させ、硬くしていきます。

そして、窯の温度を徐々に上げて約1000℃以上にします。これには3か月が必要で、それが終了するのが4月初めです。

第2段階:今度は、徐々に冷却しながら、さらに炊き続けるのです。第1段階で高温状態に晒された焼き物の表面を、これによって微妙に変化させる段階であり、ここに新たな技術的試みが秘められています。

第3段階:焼かれた焼き物を徐々に冷やしていく段階です。折角焼いた焼き物を急激な冷却で破壊させてはいけません。このときにも細心の注意が必要です。

第4段階:焼き物の窯出しは、今年の12月です。
約1年もの長きにわたって取り組む大事業です。

この間、3時間おきに窯の温度を調べ、どう炊くのか、どう冷やすのかの細部を、その都度決めて登り龍を制御していかねばなりません。

焼き物の科学との闘いであるとともに、自らの体力との闘いでもあります。

この壮絶な龍との闘いに、X先生は、自らの人生をかけて挑まれているのです。

その相手は、500年間一度も現れたことがなかった巨大な龍です。
北斎龍-2
葛飾北斎の龍

これから、この巨大龍との闘いを固唾を飲みながら観ていくことにしましょう(つづく)。