①技術者や研究者の独りよがりを排して、現実のニーズから出発する。

 ②異質なものを混ぜ合わせる異種交配を行う。

 ③単なる技術革新にとどまらず、ビジネスモデルの革新を連動させる。

②については、論者の指摘の通りです。しかし、これは、イノベーション加速ではなく、イノベーションそのものを起こすこととして論じられています。

そのことは、以下の論者の文書でも示されていて、ここにも、イノベーションではなくて、イノベーション加速と強調する論理に矛盾が生まれているようです。

「組織や技術領域の垣根を超えて、人や知が自在に交流することで、イノベーションに欠かせない発想の広がりや多様性が生まれる」

この典型的事例として名古屋大学におけるノーベル賞受賞、トヨタ自動車の農業参入、NTTドコモにおけるITの農業への応用が紹介されています。

最前者については多様で優れたスタッフによる成果が、その輝かしい峰を築いたのだと思われます。

しかし、トヨタによる農業「改善」によって資材費で25%、人件費で5%の節減効果がでたことが示されていますが、これでは、とても農業の根本的な変革には結びつきません。

おそらく、NTTドコモの農業応用においても同質の問題が問われているのだと思います。

私は、その農業イノベーションを起こすには、200~1000%の本質的な改善が必要ではないかと思っています。

そのためには、単なる改善やIT化ではなく、飛躍的な農業技術イノベーションが必要であり、それを実現可能とする中核技術の開発が求められているのだと思います。

このような壮大なスケールの技術イノベーションでないと今日の農業を根本的に救い、世界に、それを発信していくことができないのではないかと思います(つづく)。