三つめの課題「環境」においては、炭酸ガス問題の解明がなされています。

まず、炭酸ガスによる地球の温暖化が政治的に利用されていることに警告を発し、「森林の炭酸ガス吸収効果」が政治利用される異常さ、炭酸ガス排出量を金に換えるという「堕落」に警鐘を鳴らしています。

むしろ、温暖化で生活は困るどころか、より快適になる部分の方が多いことも強調されています。

また、汚染物質について、あるいは汚染物質を排出する工場などを地下深くに埋設することが提案されています。また、大規模な大気、水汚染処理装置、洪水調節装置の地下工場を建設し、その輸送に地中飛行機を用いるという重要な指摘もなされています。

さて、この問題では、地球温暖化、高温化をもたらしている炭酸ガスやメタンの問題を、従来とは異なる角度から見直す問題もあるのではないかと思います。


それは、単なる処理の段階から、それを高次に発展させて、有用物に変換していくことです。これらについては、さまざまな試みがなされていますが、その実用化には至っていないようです。

たとえば、1トン当たりの炭酸ガスの処理に、少し前までは4500円ほどかかっていました。これを大幅に引き下げて1500~1000円程度にできるようになると、事情はかなり変わってくるのではないかと思います。

その意味で、この技術イノベーションが期待されているように思います。

最後は、医療の問題です。これについても、重要な指摘がなされています。

その第1は、血液の流れについてであり、この複雑な流れの究明の必要性が強調されています。

また、赤血球(直径7-8マイクロメートル)が、その直径よりも小さい血管を流れていく問題にも言及されています。

マイクロバブルは、これよりもはるかに収縮して小さくなっていきますので、これにどう作用するのか、これも面白い問題だといえます。

第2は、呼吸系の問題として、空気の流れと診断音の関係というおもしろい問題を指摘されています。

第3は、消化系の問題で、消化液混合、吸収、分泌、選択的再吸収の機構の解明が重要であることが明らかにされています。

また、人工臓器の分野では、人工心臓の制御機能を向上させる問題にも言及され、それを「野心的な挑戦」と表現されています。

以上のように、上記の環境問題、そして医療問題において、流体力学が果たしていくべき役割は多く、より難関を突破していく課題が明らかにされています。

これらに、実際にどう挑戦していくか、それは、先生が指摘しているように「野心の問題」であろうと思われます。

この野心は、開拓者精神と結びついていくものであり、その入口をしめすことで、その向こうに新たな新世紀の課題を明らかにした、これが本論文における慧眼であったと思われます。

これらの鋭く、大きな直観は、新たな学問としてどう位置づけられるか、このことが遺稿集「乱れ学」の最後の章において深く考察されています(つづく)。
20141227-1