最初の井戸掘りへの挑戦は、より窯に近いところでなされました。より近いところで水が出た方がよい、たしかにそうですが、それは水が出ればの話です。

しかし、その意図はもろくも崩れてしまいました。掘っても掘っても、それこそ100m掘っても出てきたには石ころばかりで、水は一滴も出てきませんでした。

「水がないところを窯場に選びましたので、ここからは水は出てこないでしょう! 無理だと思います」

こういわれ、M2さんの闘争心がさらに燃え上がりました。

ーーー もう一度、現場に行って詳しく調査し、冷静に考えてみよう。

そして、2回目の候補地として、大きな木が生えていたところを選びました。

ーーー この木の生え具合からすると、この下に水があるはずだ! この木は下から水を吸って大きくなったのだから、今度はまちがいない。

二回目の井戸掘りは、この木の下で始まりました。

10m、20m、そして50m、掘り進んでも、出てくるのは石ばかりでした。

この井戸掘りの経費は、1mで1万円ですので、これまでのことを考えると相当な額になります。

「いくら掘っても、水が出なければ一銭にもなりません。それが井戸掘りです」

これが、M2さんの口癖ですが、まさに、その事態が進行していました。

さすがのM2さんも、心配になってきたのでしょうか。毎日、その井戸掘りの現場に来て、その様子をじっと眺めていました。

「50mまできましたが、これからどうしましょうか?」

「ここまできたら、岩盤を突き抜けるしかない。100mまで掘り進めましょう!」

これが、井戸掘り業者に出したM2さんの英断でした。

もうこうなったら、水が出なかったと止めてしまうわけにはいきません。こういうときには、速断速攻がものをいうのです。

そして、100mまで掘り進むと水が溢れるように出てきたのでした。



その前日には、M2さんの奥様が、「珍しい鳥が水を飲みに来ていた」夢を見ていたそうで、それが正夢になりました。

喜んだのは、M2さんだけでなく、X先生もたいそうなお喜びでした。

私も、その水を飲ませていただきましたが、とても美味しい弱アルカリ水でした。

「この水であれば、兵庫の山奥まで水を汲みに行かなくて済む、なんとありがたいことか!」
とX先生は、M2さんに深く感謝されたそうでした。

「やはり、M2さんの鋭い直観はまちがっていなかった! すばらしいですね」

こういうと、少し照れくさそうでしたが、水が出てきて、内心ほっとされていたのかもしれません。

この水の話を聞いて、私も「はっ」と気付くものがありました(つづく)。