「先生、日頃は野菜ばっかり食べているでしょう」

「その通りですが、私の作った野菜は美味しいですよ」

「そうでしょう。そこで、今夜はお肉ばかりを食べていただきます。それは体温で溶けてしまうような肉ですよ」

「そんな肉があるのですか?」

半信半疑で、そんな会話をMさんとしていたら、その肉屋『味助』に案内されました。

最初に出てきたのが、ローストと牛タンの生肉でした。これを口に入れると、たしかに、トロッと溶けてきて、「そうか、これが、その肉なのか」と驚いてしまいました。

ーーー たしかに、その通りである。こんな肉が世のなかにはあるのだ!

生まれて初めての体験に、それこそ舌を巻いてしまいました。

それから出てきたのが、これも生のセンマイでした。学生時代に食べていたホルモン焼きのセンマイとはまるで違います。しかも、生で食べたことは一度もありませんでした。

加えてまっ白いホルモン、これもしっかりした味で、驚くばかりでした。

これで、Mさんがいう「肉を食べる」という意味がよく解りました。

翌朝は、一度訪ねてみたいと思っていた鞆の浦に向かいました。

ここは、昔から風光明媚、豊かな漁場と知られ、つい最近までここを埋め立てようとする一部の動きに対して小さくない反対運動が起きていたところでもあります。

あの「ぽにょ」で有名な<監督が、その構想を練るために、しばらく滞在していたところでもあり、Mさんは当時近くのスーパーに買い物に来られていた監督によく出会ったそうです。

この映画の間接的な後押しもあって、あの「ぽにょ」の世界が美しく維持されているのですから、これはとてもすばらしいことです。

その鞆の浦をお見せしましょう。
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波が静かで、まさに豊穣の海です。この海から、あのぽにょがにょっこと顔を出してきそうな気配です。

Mさんの自宅は、この海のそばにありました。この海を近くに眺めることができるのですから、こんな贅沢はありません。

身体も健康になることでしょう。同行してきた東京在住のk1さんが、しばらくここにいてダイビングをやってみたいといわれていましたが、その気持ちがよく解ります(続く)。