昨日、そのS夫妻の自宅を訪問し、ヘチマと野菜を届けた折に、久しぶりに歓談させていただきました。S先生は、ご高齢にもかかわらず、未だ現役としての学会活動をなされていて、さらに文筆活動にも長けておられます。

ここが普通の学者とは違うところです。

私とは、意気投合する事が少なくなく、いつも話が盛り上がります。そのために、私の自宅から歩いて30秒のところにわざわざ家を新築なされたのですから、大変ありがたく、そして、こんな話はなかなかありません。

その新築後に、初めてS夫妻と一緒に、近くの小さなスーパー(「スーパーA(エース)」という)に行った時の話に戻りましょう。

ここで、奥様が、とても吃驚されました。

このエースでは、入り口の前後に、まず、広告の目玉商品として果物が並べられています。最近ですと、やや大きめの新高梨が、その主役です。

このときの主役の果物は何だったか、記憶にありませんが、奥様が、それを見て吃驚されたのは、その品質の良さと安さでした。

いつもは、大分市内の中心街で買い物をなさっておられますので、生鮮食料品や魚、肉などの食物に関する情報は豊富に持たれています。

その奥様が、最初の果物から始まり、野菜、肉、魚へと、奥に進むにしたがって、その安さに吃驚され続け、かなり興奮されいるようでした。

目にするものが、ことごとく、驚くほど安いのですから、そうなるのも無理はありません。「こんな世界があったのか」と、最後のレジのコーナーでは、半ば夢見心地のようでもありました。

さて、その吃驚するほどの安さとは、どの程度のものなのでしょうか。読者のみなさまは、想像できますか?

その奥様が目にされた品々の安さは、大分市の中心街で普段買い物されている価格と比較すると、それはおよそ半額、場合によっては1/3にもなるものでした。

これを聞いて、読者の方々は、「そんな話があるわけない!」と疑われるかもしれません。

しかし、彼女と同じ驚愕を、私たちは約2年半前に、その同じ場所で経験し、それ以後もずっと確認してきたのですから、これは間違いありません。

これは、「とても信じられない」、そして「すごいことだ」と思い、そのような事が、なぜ起こっているのかを考えてきました。そして、さらに、その調査比較も継続して行ってきたのでした。

その比較対象地域は、東京、山口(周南市)、そして大分市、中津市などでした。

その結果、地方の都市においては、みなほぼ同じ物価であり、東京はそれらと比較してやや高いという傾向にありました。

しかし、同じ大分県でも、私の知る限り、この国東は、それらの物価、すなわち経済事情とは別個の、それこそ「隔絶された食物経済圏」が成り立っていたのです。

ですから、S先生の奥様が吃驚されたのは、むしろ当然のことであり、必然のことでもあったということができるでしょう。

この現実に遭遇して、S夫妻は、さらに「ここに新築してよかった」と思われたようでしたが、じつは、私たちも、その通りの「幸運」を感じていたのでした。

この豊かで安いという特異な経済事情は、そこでの生活者に重大な影響を与えます。とくに、年金生活者にとっては、とても重要なことになります。

次回は、そのことに少し分け入ることにしましょう(この稿続く)。


tai

国東市安岐港の競りで、購入した天然の鯛です。身体の均衡がよくとれた美味しそうな鯛です。体長は、45㎝以上もあります。この時の正確な購入価格は記憶に残っていませんが、おそらく、いつも経験している価格で見積もると1200~1300円ぐらいではないかと思います。これも、私どもの経験と比較しますと1/3価格になります。